ニュースメディア&ライターのモチベ

 Parsleyです。6月下旬から7月にかけて、体調崩してまるまるお仕事ができず、その間に溜まった案件が片付かず、じっと手を見る日々が続いています。すいません……。
 まだまだ万全とはいかず、ヘンな時間に眠ってヘンな時間に起きてしまったので、久々にこちらでエントリーを書いてみようと思う。30分で書けるかな?

 『BLOGOS』がYahoo系のニュースメディア『THE PAGE』の奥村倫弘氏へのインタビューを掲載している。

 「あらゆるものを“ニュース”と呼ぶと本来必要な言論活動が埋もれてしまう」~「THE PAGE」編集長・奥村倫弘氏インタビュー~

 ここで、奥村氏は「コミュニケーションとニュースは違う」ということを強調されていて、それには深く頷くところがあるのだけど、下記のくだりでうろんな気分になるのを禁じ得なかった。

 実際にインターネットの生産側のメディアの名前を挙げていくと、その多くは旧メディアのネット部門です。純粋にネット専業で生産をやっているのは、ITメディアさんやJ-CASTさんぐらい。他に真面目な話題を取り扱っているメディアというのは、ほとんどないのではないでしょうか。

 えーと。私は「やわらかニュースメディア」を標榜している『ガジェット通信』というサイトに多少なりとも関わっているわけなのだけど。全部が全部、「やわらか」なわけではなく、現場での取材や現地での空気を伝えるような記事をちょっとは出し続けているという自負があったりします。

 例えば、長渕剛10万人ライブ。多くのメディアがツイートのまとめベースや事実の羅列に終始している中、参加者目線の記事を配信している。帰宅困難者にクローズアップされがちな中、その楽しみ方や「実際はどうだったのか」を伝えるのは、「ニュース」と呼べるものだと思う。

 【レポート】「長渕剛 10万人オールナイト・ライヴ 2015 in 富士山麓」にアラサー女3人で行ってきた

 また、発表会で行われる質疑応答の臨場感をそのまま伝えるような記事も出している。『楽天アプリ』発表会の記事は、不正アプリ対策機能サービスに関する鋭いツッコミをそのままベタで記事にしているが、これもしがらみの関係がない書き手だからこそ書ける内容のものだ。

 『楽天アプリ市場』がサービス開始! 新サービス記者発表会取材レポート

 確かに、『ガジェ通』も他メディアと同様にネット、特に『Twitter』や『YouTube』の反応を中心に組み立てる記事が多いのは事実だし、それでPVを支えているのだけど、「取材」というより「体験」に基づいた内容の記事も数多く出している。

 まぁ、ここまでで“真面目”認定されるかなんともなので。いちおうParsleyも、最低でも月に1度は永田町・霞ヶ関の取材記事を出していて、出席が許されるところは閣議終了後の大臣会見でのやりとりを記事化している。直近ではTPPの著作権絡みのことを山口俊一大臣に聞きに行ってます。

 山口俊一・内閣府特命担当大臣閣議後会見 「(TPPについて)詳細を担当から話を聞いたことはない」(2015年8月4日)

 おそらく、細々とでも大臣会見の記事を出し続けているのは自分くらいなのでは、と思うわけなのだけど、ぶっちゃけPV取れないし、誰にも褒められないし、というかほぼ関係者には無視されているし、モチベーションの維持が大変なのよ、モチベの維持が。
 民主党政権時代、自由報道協会に所属していた方々が積極的に会見に出席されていたけれど、安倍政権になってからほとんど見かけなくなった。とはいえ、彼らを論難するつもりはなくて、特ダネが取れることもほぼないし、基本的に退屈なやりとりに終始する会見に行くインセンティブがない、と判断するのは、それはそれで正しいと思う。
 それでも自分が出続けているのは、平時ならともかく、有事の際に「閉じられる」ことがないように、誰かが「いる」必要があるのでは、というヘンな使命感と、どんなおかしな質問も「議事録」という公的な記録に残るから。この二点のみで、「あ~そろそろ永田町行っておこうかなぁ」と足取り重く取材に行くわけです。

 そういう意味では、自分が政治・社会系の記事を出すことで『ガジェ通』は奥村氏のいう意味での「ニュースサイト」と名乗る資格があると思うのだけど。ただ、ほんとうにPVはないに等しい。正直言えば何度か心折れるほどには、読まれない。だから、ビジネス面では『Twitter』『YouTube』の反応記事に支えられることで許されている「道楽」なわけで。自分も「それだけ」をやるわけにもいかないし、「それだけ」だとつまらないから専門でやる気はゼロだけど、ちょっとでもできることをやるかやらないか、は奥村氏が言及するメディアの「バランス」ということになるだろう。

 ちなみに、自分の取材した大臣会見の記事がニュースアプリのトップに掲載されたことは知る限りはないので、彼らにとっては不必要な情報なんだろうな、と思っています。あーあ、やっぱりほとんど求められてないように感じちゃうな~。割と手間暇かかるんだけどな。主に取材に入るまでのプロセスで。
 
 そんなこんなで。ネットメディアが足や手を使って取材してアウトプットを出していくということについては、残念ながら取材者・書き手のモチベーションに依存していて、しかもそれは折れやすい、という話でした。
 これは余談ですが。各アクセス解析を見る限り、政治系の記事の男女比は8:2くらいのケースになることが多かったりする。ゆるふわな乙女男子であり続けたいParsleyとしては、それもモチベが下がる理由の一つになっていたり……。

 ちなみに火曜日は閣議後大臣会見の日ですが、別作業のためパス。それならば朝ゆっくりできるはずなのだけど、そういうわけにもいかないので、これにて失礼。おやすみなさい~。

 

『ヒロシマ・ノート』と御幸橋の写真の思い出

 残暑お見舞い申し上げます。またも久々の更新になってしまいましたParsleyです。
 この間どうしていたかといえば……。6月の下旬から調子を崩し、7月まるまる体調的にいかんともしがたい状況でした。喘息持ちだし、もともと身体が弱いのでこのこと自体は「たまにあること」だし、入院したり休職したりするのは決まって6-7月だから、ハナから苦手な時期なのだけど、もろもろのタイミングもあって精神的にも打ちのめされたというのが正直なところ。ようやく、おっかなびっくりではあるけれど動き出してはいるのですが、ご心配やご迷惑をおかけした方々には、この場を借りてお詫び申し上げます。ほんとうにすいません……。

 さて。本日は70年めの広島原爆投下の日。NHK総合では、19時30分より『きのこ雲の下で何が起きていたのか』が放送される。

 ※参考 被爆地ヒロシマ“生と死の境界線”の橋の写真を立体映像に NHKスペシャル『世界で2枚だけ・きのこ雲の下の写真』8月6日放送

 このドキュメンタリーでは、爆心地から約2kmの地点にある御幸橋で、原爆投下の3時間後に橋の上で撮影された2枚の白黒写真をもとに、そこに写された被爆者の証言や医学的知見をもとに立体映像化。モーションキャプチャーで写された人物を動かしていくという。

 番組で使われる御幸橋の写真については、個人的な思い出がある。小学校2年生の時、大江健三郎氏の『ヒロシマ・ノート』、いま振り返ると、その簡易解説版といった位置づけのペーパーブックが自宅の本棚にあって、それを読書感想文の対象に選んだ。これを提出してちょっとした賞を頂いたのだけど、その表紙がこの御幸橋の惨状を切り取った写真だったのだ。
 自分が近現代史に興味を抱くようになったのは、祖母から事あるごとに戦争体験を聞かされてきた事と、この『ヒロシマ・ノート』によって大江氏という作家を知ったことが大きいように思う。
 その後、岩波新書の『ヒロシマ・ノート』を手にして、続いて『沖縄ノート』を読み、そこから『飼育』や『死者の奢り』にさかのぼり、『セヴンティーン』でガーンとショックを受けるような擦れた中学生になった。そういう意味では、その戦争観に馴染まなくなった今でも、彼の著作は自分の読書歴の中で特別な存在だ。
 
 これも今になって感じることなのだけど、読書感想文が人に「読まれた」ということで、はじめて「書く」ということを意識するようになったといえるかもしれない。やはり『ヒロシマ・ノート』と、第二次世界大戦史に興味をもったことが、書き手としての自分のルーツの一つであるように思える。

 最近ではアニメとサッカー観戦くらいしかテレビを見なくなって久しいParsleyではあるけれど、このドキュメンタリーはじっくりと見たいと思う。それは、「ネトウヨ」的な歴史観にも触れて、100%鵜呑みにはしないが同時に完全には否定しない、という考え方になっている私自身と、「戦争」や「原爆」、そして「歴史」との距離を再確認する作業になるはずだ。

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