「魔法使い系男子」の誤配に思ったことなど

 現実逃避にニコニコ動画で『艦隊これくしょん』の動画を見ていたら、「魔法使い系男子」というキーワードが目に入ったので、何かと思って確認。

 女子に魔法をかける“魔法使い系男子”がブーム!? ダ・ヴィンチ電子ナビ

 要するに、メイクアップアーティストなどリアルに「美」を施す男子のことを差すらしいのだけれど。ほかにもスタイリストや美容師あたりも該当するのだろうか。それならば、例えば『シザーズ』の狩谷勝人も「魔法使い系」になるのかしら…。

 と、いうのは置いておいて。ネットに置いて「魔法使い」というのは30歳を越しても女性経験のない高齢童貞を差すのが一般的で、女子に美を施すということとは真逆。案の定、記事が配信されているニコニコニュースではツッコミまくりで残念なことになっていた(参照)。

 この記事の初出は『ダ・ヴィンチ』11月号の「出版ニュースクリップ」。つまり、本好きかつそれほど少女マンガに関心がないひとが斜め読みをして「ふーん、そういうマンガが増えているのか」と頷いてもらえるようなことを想定した文章というのが個人的な印象になる。もっといえば、ネットでの配信は念頭に置かれていない記事ともとれる。でなければ、無邪気に「魔法使い」という言葉を選ぶことなどできないだろう。

 最近、様々なジャンルの雑誌記事がネットでも公開され、中にはポータルサイトに配信されるケースも増えている。それが思わぬ反響を呼ぶ可能性も高いけれど、今回のような誤配によってネガティブな印象を呼ぶと、媒体のブランド的にもマイナスに作用する場合もあるだろう。何より、ピックアップされた作品にとっても意図しないイメージが付いてしまうかもしれない。これが書き手が恥をかくだけならばいいのだけれどね。

 前にエントリーで若いうちからネットメディアに慣れる必要性に触れたのだけれど(参照)、その時に書かなかったこととして、情報が拡散していく過程において意図しない反応を想定する訓練は、紙よりもネットの方が経験積める、ということがある。
 今回だって、事前にGoogle先生のお世話になっていれば、少なくとも「30歳DTのことですね、わかります!」というツイートが集中することは読めるはず。ネットで毎日書いていれば、自然と感覚が掴めてくるので、あとは書き手の選択で表現を決めることができる。個人的にネットの反応が嫌いな方はそういったコントロールができていない、という印象があるのだけれど、長くなるのでここでは割愛する。まぁ、「書く」上では知らないより知っている方がいいよね。

 もちろん、「アクセス取れたぜ、やったー!」というのもアリだし、注目&拡散すればビジネスとして勝利でしょ、という考えならばそれでいいけれど。長い目で見れば、ある程度読む側のことを気にしつつ発信するのが、メディアとしても書き手としてもプラスに働くと思う次第です。

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橋口 たかし
小学館

 

 

精神疾患が「伝染る」のを防ぐために

 昨日10月4日に、『BLOGOS』でこんな生放送をやっていて、視聴しつつ思ったことをつらつらと記しておく。

 放送:松本ハウスが語る 100人に1人がかかる「統合失調症」からの社会復帰

 統合失調症に限らず、精神疾患を患っているひとを社会でどのように受け入れていくのか、ということはこれまでもさまざまな議論がされているのだけれど、社会に復帰した経験がクローズアップされ、本人の努力や周囲の寛容な姿勢が「美談」として流通されているケースが多いことが気になっている。

 Parsleyは数年前、ITベンチャーで一つのサイトを実質的に任されていた。その際にチームにふたり精神疾患を抱えたひとが付けられた。ひとりは統合失調症で、ひとりは強迫性ストレスとうつ病を併発しているひと。
 問題は、彼女たちを採用する際に、そのことを調査していなかったこと。そして、本人たちもそのことを隠していたことだ。
 私もストレス障害のため心療内科で通院歴があって、彼女たちの言動や行動を見て即それに気付いたので、マネジメントに細心の注意を払った。
 まずは彼女たちの意思を常に確認する。その上で出来るであろう業務を、「ある程度」自由度をもって任せる。上がってきた結果を決して頭ごなしに否定しない。そして、所定の時間を超えた勤務をしないで済むように心がける…。

 その半年後。ふたりとも「激務」が原因で会社を去っていった。そして私も会社を去った。細心の注意を払い、彼女たちがこなせない分の業務を肩代わりして、さらにチームとしての成果をクリアしたにもかかわらず、会社から充分に「労力」を払ったことが認められず、私自身がパニック障害を発症したからだ。

 オフィスに限らず、社会ではコミュニケーションに関するコストを個々が払わなければならない場面が増えている。精神疾患を患うひとの中には、相手と話しをするのに心理的障害があるというケースもあるだろう。だが、精神疾患を持っているひとを相手に、コミュニケーションを取っていくということも、同様に払うコストが高い。お仕事で何らかの成果を要求される場面においてはなおさらだ。
 そして、そういったコミュニケーションが上手くいかないことによって、そのひとたちの上司や同僚が、診療内科のお世話になっていく。場合によっては、私のように休職や退職に追い込まれる場合もあるだろう。大げさでなく、精神疾患は「伝染る」のだ。

 このような負の連鎖を繰り返さないためには、精神疾患を抱えるひとを「雇う」際のサポート体勢を築く上で、例えば担当医師・カウンセラーとの連携や、彼らを使う際のマネジメントのメソッドがマニュアル化されるなどが必須になってくると思うのだけど。それをクリアしている会社は一握りもないというのが現状なのではないか。
 
 そんなこんなで。統合失調症やうつ病、パニック障害を患うひとの「社会復帰」を進める上で、彼らと関わるひとのケアも同時に進めていかないと、ドロップアウトするケースが増えてしまうよ、というお話でした。
 このあたり、特にオフィスでは経営側が「きちんと評価できない」という根本的な課題も抱えているので、一朝一夕にはいかなさそうではあるけれど。まぁ難しいよね~この問題(スーパー北上さまの口調で)。

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