選挙後に考えるべき公職選挙法再改正

 そんなわけで、参議院選挙投票前日。Parsley個人はまだ投票先を決めかねているという優柔不断ぶりで、なんというか気が乗らない。いろいろな方が「投票に行きましょう」と呼びかけているけれど、「棄権する」という行為も政治的な判断として認められてしかるべきだというのが個人的な考えなので、よく熟慮した上で判断したいし、皆様にもおすすめします。

 それはそれとして。今回の選挙から改正された公職選挙法が適用されて、インターネットを利用した選挙運動が認められている。が、「選挙運動期間」として定められているのは公示日から投票前日まで。つまり、今日7月21日0時をまわった後に、特定の候補者や政党に投票を呼びかけるようなブログエントリーやtwitter・Facebookなどの更新をすると違法となってしまう。
 もちろん、インターネットに限らず投票日当日の選挙運動が認められていないわけだけど。その理由について少なくとも総務省や各選挙管理委員会では明確にしていない。投票所の前で各候補の陣営が集まっていたら迷惑じゃん、ということなのだとは想像つくけれど、それなら道路交通法などほかの法律でも規制することができるし、「そういうものだから守りなさい」というのは個人的には腑に落ちない。
 同じように、未成年者の選挙活動が出来ない理由や、今回の改正でUSTREAMやニコニコ生放送などでは配信できるものが、テレビ・ラジオだと規制されるなど、つじつまが合っていないのではと思えるような部分が公選法にはいくつもある。
 これは、選挙の区割の変更など、時勢に合わせて改正を繰り返すという形で肉付けされていったという経緯も関係しているように感じる。いわば増築を繰り返した建物のようなもので、そこにインターネットでの選挙活動という「部屋」を加えたことで、さらにバランスが悪くなってしまっているとも取れる。

 なので、参院選が終わった後は、今回は解禁にならなかった一般有権者のメール利用に限らず、投票当日の扱いや未成年者の処遇なども含めた公選法のあり方について、議論を深めていくことが理想的。おそらく「一票の格差」の問題もここにリンクしてくるので、よりよい制度になる方向に行ってもらいたいなぁ…。現状を見る限りは等閑にされそうな気がするけど、Parsleyの予想を裏切る展開に期待したいですね。

 あ、現行の公選法では、投票日当日に選挙運動またはは当選を得させないための活動とみなされるツイートやブログを更新すると違反になります。1年以下の禁錮もしくは30万以下の罰金に加えて、選挙権&被選挙権も停止させられるとあり、特に後者の公民権を失うのが地味に大きいと思われるので、皆様お気をつけて!!
 

ネットメディアで政治を取り上げる困難

 タスクが詰まりに詰まって憤死しそうな酷暑。皆様はいかがお過ごしでしょうか?

 『ガ島通信』の藤代裕之先生が、毎日新聞にこんなコメントをしていたので、当事者として簡単に。

 参院選 ネット選挙解禁 藤代裕之・法政大准教授の話- 毎日jp(毎日新聞)

 ネットメディアも、ネットを利用して一つの政策を徹底的に掘り下げて政党や候補者に聞くなど、記者個人の問題意識で、ターゲットを絞った報道があれば良いのになかなか出てこない。もっと多様な報道ができるのではないか。

 まず、大前提として今回の選挙は最初から趨勢が明らかすぎるので、選挙中よりも選挙後の政権運営がどのようになっていくのか、ということがカギになってくるのでは、というのがあるので、Parsley個人として必要以上のリソースを割いてまで取材したり記事にしたりするモチベーションが持てないし余裕がない。別に政治専門でやっていけるような立場でもないしね。クールジャパン推進会議をはじめとする知的財産政策に関しては、選挙期間中はまったく動かなくなるから、むしろピックアップするネタに困るくらいだし。

 メディアの立場でいうならば、特定の候補や政党にフォーカスしたコンテンツを展開する際に、今回の公選法で改正で違法にはならなくなったけれど、メディアとしての「色」がついて他の候補・政党からの取材が出来にくくなる、といったファクターを考慮しないわけにはいかない。かといって、全ての政党や候補者を対象とした取材をするのには人的にも時間的にもリソースが足りない。
 そもそも、ネットで政治関連のトピックは、政治家自身の「失言」以外にコストを回収できるだけのコンテンツになるのかかなり怪しい。政策議論が読まれるようなメディアならばともかく、ネットユーザーを相手にしている以上は積極的に取り上げづらいよなぁ、と日々感じている。
 そして、政治家自身や事務所サイドも、できるだけ不利になる要素は極力避けようとする意思が働くから、ネットのメディアの取材は無視するか後回しにされがちだ。メディアの影響力などを勘案すればこれも当然の判断だと思うし、細かな政策的課題について専門でない候補もたくさんいる中で「疎い」という印象を持たれることを政党サイドでコントロールしたいという気持ちも分からないでもないから、「コメントしない」というのが正解だろう。そこまで読めるのに積極的に手足動かす気にParsley的にはならないなぁ…。

 とはいえ、それでもネットメディアや書き手にとって、必ずしもアクセス取れずに、なおかつ取材対象やユーザーからスルーされても選挙関連の取材する意味があると思うのは、今回のように風の緩い選挙でなく、それこそ日本中を二分するような政策課題を焦点にした選挙が起きた場合に、コミットできる足がかりがあれば、今のうちに作っておくに越したことはないから。それが生きるかどうかわからないけれどね。

 というわけで、テンション低いながらも、細々と取材したりしていますよ、というお話でした。

メッセージとコミュニケーション

 ルーブス・コミュニケーションズの矢野悠貴氏がお書きになられていたC-NETの記事が面白かったので少しだけ。

 アーティスト視点で考える次世代のオンラインコミュニティ講座 – CNET Japan

 さまざまなソーシャルメディアサービスが登場する中、活用目的やKPIが明確でないと運用の負担が増えてオフィシャルサイトの存在意義を見失う、というのは音楽・エンターテイメントに限らずあらゆるシーンで散見される。矢野氏が指摘している「オフィシャルなコミュニティをベースとしたファンとの継続的なコミュニケーションの設計」という、オフィシャルサイトと、よりプレミアムなコンテンツを提供するファンクラブ的なコミュニティーを軸に据えて、ファン間への体験を広く提供する役割を各ソーシャルメディアが担うというのは非常にわかりやすい構図になっている。

 また、矢野氏は下記のような重要な視点も提示している。

 アーティストの持つ世界観、ファンに伝えたいメッセージこそがコミュニティの基礎であり、作品そのものが核をなすのではない。 

 つまり、作品(音楽に限るならば曲)はアーティストの言いたいことや伝えたいことを届けるための器にすぎず、中身が共感されるメッセージがないとアーティストたりえない、ということになるだろうか。

 確かに、メッセージが明確な作品やアーティストの支持が強固になるのは論を待たないところだろう。だが、特にブログブームが到来した2004年以降はファンとのコミュニケーションそのものに対する価値が増大し続けている。インディーズで活動するアイドルや声優などの「会いに行ける」という直接ファンと触れる場では、「一緒の時間を過ごす」という共時性そのものが最大のメッセージとして機能している。
 また、ニコニコ動画を中心に展開されている初音ミクをはじめとするボカロ曲や、『アイドルマスター』関連のコンテンツは、作品の制作するプロセスやユーザー同士の交流が渦巻き、さながら英傑が集う梁山泊のようなワクワク感がある。ここでは「よりよい作品を出す」ということを各ユーザーが共有しており、それが最大のメッセージとなっている。この自分も作り手の側として参加しているという楽しさを覚えて、誰かからのメッセージを受信するだけでは物足りない、という層が増えているということは現在のカルチャーを語る上では欠かせないポイントだろう。

 とりとめもなく記してしまったけれど。アーティストからファンへという一方通行の流れは、よほどメッセージが強固でない限りは成立するのが難しく、双方向のコミュニケーションを構築しているクリエイターやコンテンツがネットでのバイラルを起こすという一点においては有利に働く。後者がマネタイズを図れるとは必ずしも限らないので、そういったバランスを取りつつコミュニティーを形成していくことが「マネジメント」の範疇になっているのだろうなぁ。超たいへんだけど面白そうではありますね。

 ちなみに、矢野氏は『in the looop』コラムも示唆に富んだ内容のものが多いので、興味がある方はご一読をおすすめします。

 
 

インタビューのコストついて考えてみる

 今、ちょうどインタビューのまとめをしていて煮詰まってきたので、気分転換にざざっと書いてみる。Parsleyは単純にひとのお話を聞くことが好きなので、インタビューをすること自体は楽しいのだけれど、アウトプットする際に毎回苦戦するんですよね…。

 個人的に、60~120分程度お話を頂いたとして、それをまとめるのに最低でも5~6時間程度はかかっている。これはテープ起こしをする場合でもそれを省く場合でもあまり変らなかったりするから、構成を組み立ててライティングするのに、その程度は必要と考えてほしいな。
 さらに、その前の段階で依頼をして、なおかつ実際にWeb上にアップしたり紙媒体に落としこむ作業が発生する。自分でやってしまったり、編集さんなりにお願いしたりケースによってさまざまだけど、いずれにしてもスケジュールにカンするメールや電話をするのにも際にも時間とコストが当たり前だけど掛かっている。体感値的にはこういった連絡・調整に2時間程度は払っているのではないか。
 となると、一つのインタビューに対して下記のような要件が発生していることになる。

 ・実際にインタビュー/ヒアリングをする ⇒ 1~2H
 ・構成作業 ⇒ 5~6H
 ・連絡調整作業 ⇒ 2H

 だいたい10時間程度は作業にかかりきりになっていて、時給1000円で換算するとちょうど10000円ということになりますね。

 Webに限るならば、1万円利益を上げるのは相当な難事ではあるけれど、個人的には1PV=1円という換算がシンプルだと考えている。つまり、10000PVを稼げるのであれば、コストを払うのに見合うだけのバリューのあるコンテンツと見なしてもいい。もしその分のコストを回収できなかったとするならば、クオリティー以外の問題が何かあると見なすべきだろう。
 まぁ、これはあくまでParsley個人の判断基準ですけれどね。それなりに神経を使う作業ではあるので、払うコストと実際のバリューを天秤にかけることは必要だよね、という話でした。作業に戻ります…。

インタビュー術! (講談社現代新書)
永江 朗
講談社
売り上げランキング: 30,067
インタビューの教科書
インタビューの教科書

posted with amazlet at 13.07.02
原 正紀
同友館
売り上げランキング: 23,455

安藤美姫選手の出産ととある既女板の議論

 フィギュアスケートの安藤美姫選手がテレビ朝日系『報道ステーション』で自身の出産を紅白したのこと。まずはおめでとうございます。

 安藤美姫選手が告白 4月に女児出産 ソチ目指す(テレ朝ニュース)

 個人的にはその決断はかっこいいと思うし、周囲のひとたちに意思が尊重され、お子さんが健やかに育つことを心から願うばかり。一方で、出産に反対されたことを率直に話したことに重さを感じざるをえない。
 実際に、報道を受けた反応の中には、競技選手としての自覚を問うコメントが散見されるし、「シングルマザー」についてのネガティブな色調の声も少なくない。前者は後述するとして、アンミキ自身は父親について言及を避けただけで結婚を「していない」、あるいは「しない」とも明言しておらず、なおかつ婚姻に関しても触れていないだけなので、そこでいきなりシングルマザー批判をするのはメディアリテラシー的に微妙なように感じるし、正規の手筈を踏まない出産に対する偏見を浮き彫りにしているように思える。

 また、競技者といえども女性であり、恋愛もするし子供も欲しいという希望を押し殺すことを強要できるのか、という問いに関しても、アンミキの告白は突きつけることになった。

 ちょっと話が飛ぶけれど、2ちゃんねるの既婚女性板で、中3の子供の担任がオメデタになったことを「それはないでしょう」という書き込みからはじまった議論がまとめられているのを目にした。

 中3の我が子の担任が、オメデタとのこと。ちょっと自覚が足りなくないか? – 子育てちゃんねる

 実際、このように進学を控えた時期の担任の先生が、妊娠などの理由で交代することに対するトピックはナレッジコミュニティーサービスでは定期的に話題になるし、先生の側が悩んでいるような投稿も見かけることが多い。職業意識や責任感の強いひとほど子育てしたいという気持ちを押し殺しているという話もよく聞くし、一方で自分の子供の教育に熱心な親ほど、学校や先生への期待が大きくなっていく。
 誤解を恐れずにいうならば、自身の家族のことが優先で、社会的な少子化の問題に関してはもちろん、他者の家族計画について知ったことではない、という態度の女性は決して少なくない。男性はそれに輪をかけて多いのだろうし、それが働きながら子育てをするという選択することに躊躇をするファクターになっている。このスレの真偽は置いておいて、少なくともParsleyにとっては社会全体の空気について考えざるをえない小さなストーリーだった。

 いずれにしても、個人的には今回の出産を公表したアンミキの勇気を讃えたいし、これをきっかけに子育てを取り巻く上でのボトルネックが洗い出されることになるのであればいいなと思う。たぶんそこに、少子化対策などにも関わる重要なキーが潜んできるのではないだろうか。

空に向かって 増補版 (扶桑社文庫)
安藤 美姫
扶桑社
売り上げランキング: 16,665