ネイル議論に見えるネットの集合愚

 私Parsleyは、必要に駆られた場合を除いてニュースサイトのコメント欄を見ることはない。目を見張る意見が載ることは稀だからだ。ただ、ネットユーザー(の一部)における、正直な感情や「常識」と呼ばれる知識の程度は計ることができるのではないか、とは思っている。
 そういう意味でBLOGOSのこの議論は例示するのに格好なように感じたので、ちょっと晒してみる気になった。

 「ネイル=家事してない」こんな考えは古い?(BLOGOS編集部)

 人気モデルの益若つばささんがTwitterで「ネイルこだわってる=家事してないって考えは古いと思う」と語っていました。
 モデルプレスの記事によれば、益若さんは7月23日、ブログに自分の新しいネイルの写真を掲載。ところが一部のネットユーザーからは「そのネイルで家事できるんですか?」などの反応があったそうです。それに対し、益若さんは「ネイルこだわってる=家事してないって考えは古いと思うよ」と返答しています。

 えーと。まずは前提として。益若つばさ女史は長らく『Popteen』でカリスマモデルとして君臨、2007年に結婚、翌年に長男が誕生している。2012年に創刊された雑誌『MaMaCaWa』(主婦と生活社)にも登場、ギャルママとして20代女性から絶大な支持を集めている。
さらに、雑誌『ネイルUP』(ブティック社)にも表紙で登場。つまるところ、ブログ記事およびモデルプレスの記事は、そのパブも込みだと考えるべきだろう。そういった背景を考えずに「議論」の遡上に乗せるのはリテラシーに疑問を持たざるを得ない、というのが第一印象になる。
 付け加えると、つーちゃんが息子とパン作りにいそしむ画像はブログを遡れば閲覧することができる。(参照
 そこでは爪に小麦粉が付くことを厭わずに生地をこねる様子を見て取れる。

 次に、コメント欄に書き込むひと達がつーちゃんやネイルについて調べる気がまったくないあたりが気になった。
 現在、ネイルアートでは、ソフトタイプのジェルネイルが主流になっている。アクリル合成樹脂をUVライトで硬化させる人工爪で、ほぼ無臭。20日前後持ち、落とす際には専用の溶剤を用いる。
 ソフトジェルはネイルサロンだけでなく、セルフジェルも2008年頃より定着している。つまり、20歳前後の女子にとっては、多かれ少なかれ触れている情報になる。
 また、一見長い爪に見えても、それがネイルチップ(付け爪)やスカルプチュア(合成樹脂による延長)などで、地の爪でない場合がほとんどだということも議論に加わるなら知るべきだろう。
 そういったことを、BLOGOSの購読層は知らない、という非対称性が浮き彫りになっているように思えた。

 爪が長い=不衛生という価値観に対して、一石を投じることになったつーちゃんだが、彼女が家族のことを大切にしていることは長年の読者やファンにとっては周知の事実。また、ネイルサロンの衛生管理については厚労省より指針が出されほとんどそれに遵守されていること、アクリルやソフトジェルの主成分アセトンは固める際の換気に注意すれば安全とされている。
 だから、注意深く洗えば問題なく家事はできるし、ネイルの持ちが気になる方の中には透明のゴム手袋を使うなどして対応している例も多い。そういう現状を含めて、「ネイルこだわってる=家事してないって考えは古いと思う」という発言につながっているのではないだろうか。

 最初にも述べたが、BLOGOSの議論に限らず、ニュースサイトのコメント欄やtwitter上の言及に関して見るべき言論はほとんど皆無だ。むしろ印象論に拠った無責任な「意見」が大半のように思える。自説を唱えるブログへのリンクを張りまくるような方さえ見かける。そこから生産的な議論に繋がっているケースをParsley個人としてはほとんど知らない。
 ジェームズ・スロウィッキー氏の『「みんなの意見」は案外正しい』が刊行されたのは2006年。「普通の人の普通の集団の判断の方が実は賢い」という主張をした本書だが、似たようなクラスタの人々が居心地のよい場所に集まって細分化された2012年のネット社会では、「集団」が偏りすぎて「賢さ」よりも「愚かさ」の方が目立つ構造になっており、「みんなの意見は全然間違っている」という結果になっている例が多々起きているのではないかと思ってしまう。
 そんな「集合愚」の一例として、今回の「ネイル議論」は記憶されるべきなのではないだろうか。

 とりあえず。BLOGOS編集部って女性スタッフいるのかしら。もしいないのであれば、それだけで偏った運営になるのも無理ないよなー。仮にギャル上がりのバイトさんが一人でもいたら、このような議論を立てるの止めたと思うのですけれどね。

ネイル UP (アップ) ! 2012年 09月号 [雑誌]
ブティック社 (2012-07-23)

さいきんのお仕事とかもろもろ

『月刊宝島』9月号でお仕事しました。

宝島 2012年 09月号 [雑誌]
宝島 2012年 09月号 [雑誌]

posted with amazlet at 12.07.25
宝島社 (2012-07-25)

 前月号に引き続いて、『月刊宝島』の短期集中企画「非モテってなんだ?」でお仕事させて頂きました。
 まずは、革命的非モテ同盟のアジトでメンバーの皆様にお話をお聞きしています。それまで得体の知れなかった、彼らの素顔の一端を垣間見える内容になったのではないかと思います。
 そして、はてな非モテ論壇の方々にはおなじみの、シロクマ先生へのインタビューが、企画の掉尾を飾ることになりました。こちら、普段のシニカルな先生だけでなく、前向きな提言も含まれていますので、ぜひご一読頂きたいです。

★ニュースサイト『オタ女』でいろいろ書いています。

 2012年3月から、『ガジェット通信』の姉妹サイトとして、「“ちょっと”オタクだったり、“隠れ”オタクだったりする女性の為のサイト」として誕生した『オタ女』で、ライターをさせてもらっています。

 オタ女>ふじいりょうと記事一覧

 ご覧のように、サブカルイベントの模様からドラマCD情報まで幅広い内容で書かせて頂いています。
 まだ、立ち上がったばかりのニュースサイトなので、公式twitterアカウントをフォローして頂けると嬉しいです。
 ありがたいことに、割と自由に書かせてもらっているので、これからも尖った情報からゆるいネタまで幅広く拾っていきますので、よろしくお願いいたします。

コンサルが教えないソーシャルメディアの3つの真実

 ちょっと周回遅れ感があるのですが、株式会社トライバルメディアハウスの植原正太郎氏のエントリー。

 LINEのソーシャルネットワーク化の先にあるもの(little_shotaro’s blog)

 LINEをほとんど活用していないParsleyにとっては、正直わけわかめなエントリーだったのだけど。「くだらない会話」ってtwitterやFacebook上にも溢れているし。そもそもmixiのユーザーからtwitter・Facebookに流れて馴染めない層=「SNS難民」というの、どれだけの人数いるのか統計取ったの?(私が小一時間程調べてみたけれどなかった)
 個人的にSNS化したLineが競合するとするならば、位置情報サービスと、食べログやぐるなびのようなグルメ情報サイト・クーポンサイトなんじゃないかなぁと思うのだけど。早晩同じNHN Japanのロケタッチと連携したサービス展開されるだろうし。まぁこのあたりの考察は、本業の方々にお任せします。
 
 このエントリーでは、おそらくウェブコンサルタントの方々が、クライアントには教えないんだろうなーというソーシャルメディアに関する3つの「真実」についてつらつら記していこうと思う。なぜ教えないのかといえば、それを説明するとソーシャルメディアのみならずネット活用するメリットを説明するのに明らかにマイナスのファクターだから。もっといえば、特定のソーシャルメディア活用を提案する際にお金落としてくれなくなっちゃう可能性が高い情報を隠す必要があるため。
 私にはそういったしがらみはないので、好きにぶっちゃけることが出来る。あぁ、好きにもの書けるっていいなぁ!
 というわけで、以下が本題。ご興味のおありの方は、続きもお読み頂けますと幸いです。

 「SNS難民」は非実在

 前述したように植原氏が「mixiからtwitter・Facebookに移動して、なじめなかった層がSNS難民になっている」という説を展開している。だが、仮にそういう層が存在するとして、それは「難民」なのだろうか?
 SNSやネットから姿を消すユーザーの多くは、リアルでの環境変化によるところが多い。結婚・出産といったケースや引越し、就学・就職または転職ということも考えられるだろう。ネットでアウトプットするよりも生活や日々の暮らしを充実させることにリソースを割く必要があると、ひとはひっそりとPCから離れていくのだ。
 「それではmixiの衰退の説明はどうするんだ」というツッコミが入りそうだから簡単に触れておく。ネットサービスでユーザーが移動するのはコンテンツとコミュニティが移ったのに伴って付いていったケースが考えられる。mixiの場合、2011年11月に公認有名人アカウントが終了したことにより、各ブログサービス、特にアメーバブログとグリーへと有名人が移動したのに併せて、ユーザーのコミュニティも移動している。アメーバピグの成功は多数のタレントブログを抱えていることも大きな理由の一つになっている。
 2006年頃に隆盛を誇ったはてな村が過疎化しているように見えるのも、多くのキープレイヤーがtwitterで発信するようになったからという要素が強い(アーリーアダプターが多い層だからなおさらだ)。
 だが、「このサービス使いにくい」といった理由で退会もしくは活用しなくなるというひとはごく少数。「居心地が悪い」という場合も、リアルでの人間関係が原因の場合も多く、同じサービスで別のアカウントを取得する、といったことは昨日今日ではじまったことではない。
 そんなわけで、mixiのユーザーがtwitterやFacebookに流れたというのはミスリード。多くのユーザーは、同じサービスをそこそこの頻度で使い続けているのだ。

 多くのユーザーは、ネットサービスを併用している

 当たり前のことだけど、長く生きていくうちに人間関係は重層化されていく。家族、学校の友人、仕事関係で知り合った人、趣味が合う人…。そういった複数のネットワークの中でそれぞれの場所に見合った適切なコミュニケーションを取るようになっていくはずだ。
 長くネットに触れているひと程、一つのサービスでは済まなくなっていく。twitterのDMの返信が一番連絡がつきやすい場合もあれば、facebookに張り付いていた方がそのひとが何をしているのか情報を取得しやすいものもある。未だにmixiでしか繋がる手段がないひとだっているかもしれない。
 別に、これは情報弱者がmixiとメールしか使っていないとかいうのではない。ブログはアメーバ、SNSはmixi、主に観るのはニコニコ動画というひとと、twitterメインでfacebookとmixiにフィード流しているというひとがコミュニケーションを取る際に、自然とmixiメッセージ使うでしょう。あくまで、的確な繋がりで個別ごとに対応しているというだけの簡単なお話だ。
 そうやって、多くのSNSを併用して使っているというのが、アーリーアダプター層の実態に近い。逆にいうと、数年もたった一つのSNSで済ませているというのは、人間関係が狭いか希薄な可能性が高いか、そもそもネットに頼らずに人間関係を構築しているのかのどちらかだろう。
 だから、ネット上でビジネスをする際には、ひとつのソーシャルメディアを活用するだけでは不十分で、さまざまなプラットフォームを重ね合わせた施策が必要になってくる。「プロデューサーさん、今はLINEですよ! LINE!」という一点突破ではなく、全面展開をしなければならないはずだ。
 
 ■そもそもソーシャルメディアを利用していない層が多数派である

 モバゲーが約3000万、GREEだと約2700万、mixiが約2500万のアカウントが存在する。だが、3000万といっても日本国民が1億2800万人のうちの四分の一以下に過ぎない。また、実際のアクティブなユーザー数はどこも全体の60%前後と見られている。mixiの場合、発表によると約1512万(2012年3月時点)。全人口比で8.5%弱という数字になる。facebookは、日本国内だとようやく1000万の大台に達したという段階。
 ちなみに、アメリカでのfacebookは1億5000万アカウントに達しているそうだが、それでも合衆国人口約3億1000万人の五割に満たない。
 つまるところ、日本はもちろん、国際的に見てもソーシャルメディアを利用していない層の方が多数派だということは、ネットにどっぷり浸かっている人間は忘れがち。
 もちろん、今後インフラとしてネットやSNSが普及していくことは間違いない。しかし、前述したように一つのサービスが寡占するようなことはなく、複数のサービスが競合していくことになるだろうし、そうなることが望ましいとされるはずだ。その過程において、リアルとネットの境界がなくなっていくことが普及には必須になるだろうし、デバイスの進化も不可欠。そういった様々な要素を見ていくと、ソーシャルメディアをバリバリと使っているひとがフツーの時代は、まだまだ先のことになるのではないだろうか。

 そんなこんなで。
 スケールメリット的な要素を強調したり、競合サービスとの比較を出してくるネットコンサルタントは、ユーザー動向の本質から外れた提案をしている可能性が大きいのではと個人的には思う。
 一番重要なのは、ユーザーが希求する情報を提供することにより強固なコミュニティを形成し、中長期的に「よい関係」を築くこと。ビッグビジネスではなくて、地道にファンを増やしてエンゲージメントすることをミッションにすることなのではないかしら。
 まぁ、悩めるPR・広告・販売施策担当の方は、ちゃんとコンテンツのあり方に知悉していてユーザーのコミュニティのリサーチ能力に長けたコンサルのひとに出会えるといいね、と思った次第です。

二年間で転職・求職にかかった費用を計算してみた。

 2010年3月に、広告企画会社を会社都合で退職、つまり解雇が決まってから、2012年の3月までの間に私Parsleyの転職・求職してきた結果について、ここに晒してみようと思う。
 まず、僕のスペックとしては、派遣社員として営業事務を約1年経験した後、アダルト系出版社に2年10ヶ月在籍、IT系ベンチャーでWebディレクターとして1年半在籍、広告企画会社に6ヶ月在籍。ちなみに解雇理由はぜんそくで健康状態が思わしくないこと。

 2010年3月から、2012年3月までの間に、エントリー・履歴書送付したのは、正社員・契約社員318社、アルバイト65社に及んでいた。そのほか人材派遣・登録会社22社のお世話になっている。派遣社員として紹介があったのは、総計で76件だった。また受託案件で52件ほど紹介や応募をしたが、それはここでは除いておく。
 そのうち、面接したのは、正社員・契約社員130社、アルバイト24社だった。さらに二次面接まで呼ばれたのが12社あり、三次面接まで行ったのが4社あった。アルバイトのうち、2次面接があったのが3社。
 派遣社員としては、29件就業先の担当者との顔合わせをしている。

 受けた業種はIT系、特にWebディレクター職が半分以上。他にも営業・企画・バックオフィス系も待遇などを考慮した上で応募している。アルバイトは、スーパーやファミリーレストランの接客業から、工場での仕分け作業、警備員、携帯電話販売といった多岐にわたる案件に応募している。
 年収は、希望としては360万円にラインを置いていた。しかし、書類面接では「年収に対するこだわりがない」旨を明記しておいた。また、勤務先は東京都内、川崎・横浜市内で探した。

 で。結果として。内定・入社に至ったのはゼロだった。

 まぁ、採用されなかったことに関しては、先方の人材要望とのマッチングがなされてなかったり様々な要因があると思う。なによりも、Parsleyの経歴はかなりの「ヨゴレ」なので、使いづらい人材だと思われたことだろう。
 しかし、アルバイトでもスーパーでさえ書類選考の段階で実質的に落とされた(返信がない)ことや、ファミレスで店長さんに「接客向いてない」と通告されたことは、かなりダメージを受けた。これでも60席規模のカフェにてひとりでホール回していた経験あるんですけれどねぇ…。
 要するに、「30代男性」をどこの職場も「なるべく取りたくない」というのは厳然とした事実なんだと思う。あと、一般的に「簡単に就ける」と思われているお仕事、例えば警備員なども、資格や経験を重視されるから、登録してもなかなか紹介されないということは、あまり知られていないことなのではないだろうか。

 まぁ、私がなかなか採用されないことは、このエントリーの本題ではない。
 たわむれに、転職・求職活動にかかった費用を計算してみて、ちょっと青くなっちゃったんで、皆様にもご開帳するのが目的なのです。
 では、どうぞ!

 ★書類送付
 
 履歴書  7210円 (172件分)
 写真代 15000円
 郵送費  3780円 (47件)

 ★交通費

 147820円 (183件・195回分)

 ■総計
 
 173810円

 このほか、散髪をひと月に一回したり、シャツを新調したり、スーツをクリーニングに出したり、時間つぶしのためにカフェに寄ったりした分を計上するとするならば、軽く20万円は超える額になる。
 私の感覚からすれば、「えーじぶん20万円も無駄金使ってるの!?」という感覚なんのだけど、いかがでしょう。
 失敗しているのは、履歴書と証明写真をバカ正直に毎回払っていること。履歴書はネットでフォーマットをダウンロードして自宅で印刷するべきだったし、証明写真も一度撮影してセブンイレブンのネットプリントを利用すればかなりコストダウンできるはず。
 だけど、一番使っている交通費だけはどうすることもできないなー。

 そして、お金以上に時間的な損失が大きい。
 単純に一回の面接に60分、書類作成などに90分、移動時間に90分かかったとすると780時間(46800分)を使っていることになる。32日分あまりかぁ…。この間いろいろなことできたなぁ。

 そんなこんなで。
 これから転職をしたいと考えている方は、自分の血を流すだけの(主にお財布面での)体力とそれ相応の覚悟が必要だよーという話でした。