誰がための「脱原発」?デモの当事者性

 2012年6月22日。福井県の大飯原子力発電所の再稼動反対のデモに、主催者発表で45000人が首相官邸前に動員、一部では「紫陽花革命」と呼ばれているらしい。29日にも同様のデモが予定されており(参照)、「10万人集める」といった声も聞こえる。

 大前提として、誰でも主義主張を自由に表明する権利があるから、デモでもなんでもやればいい。けれど、まるで自分達の主張が「国民の声である」的な言説を採るのは、ちょっと待ってよ、といいたくなる。
 一昨年に失業してから生活に汲々としている私のような身からしてみれば、電力料金が1円でも値上げされるのは死活問題だし、原発が停止した分の発電を化石燃料エネルギーに頼っている現状では、大気汚染はどうなのか。ぜんそく患者としては気になってしまう。
 つまり、「反原発」って、電力の安定供給やコスト増大を容認するのでリスク回避を優先、これまでのCO2排出量を削減する環境政策の転換を図る、ということと繋がることになる。Parsley個人としては、到底容認できないね。
 それで。大飯原発が停止したままだと関西では計画停電の可能性も否定できなくなる。となると、特に製造業にとってはその可能性があるというだけでクリティカルな打撃なので、一時解雇など雇用にも影響が出てくるのは必至だろう。デモに参加しているひとたちって、冷蔵庫が6時間止まると中の物がどうなるかとか想像しているのかしら。

 気になるのは、大阪や福井といった現地でデモに多数の動員があった、という情報がないこと。こちらのサイトを見る限り、行われてはいるみたいだけど。
 22日、29日のデモを呼びかけている「首都圏反原発連合」というグループについても、どういう年齢層や職業の集まりなのか、ただ人数のみが挙がってくるのみで、個々の参加者の顔が見えないよなー、と思う。

 佐々木俊尚氏は、『当事者の時代』(光文社新書・パブーでも販売中)の中で「マイノリティ憑依」という言葉を使い、「弱者の声を伝える」というお題目で報道を続けるマスメディアの構造を説明した。
 当初、デモの参加者の中から「これだけのたくさんの人数が集まったのにマスコミは取り上げない!」的な声が多かったが、彼らが大飯原発が稼動しないことによって受ける影響を直接受ける立場でないとするならば、佐々木氏が指摘した「マイノリティ憑依」のもと、主張を繰り返している、ということになりはしないだろうか。
 要するに、「弱者」の「代弁」をするという行為は、簡単に正義感が満たされて気持ちがいいから、皆深く事象を検証することもなくデモに参加しているひとが多いんじゃないのかしら、という疑問を拭いきれないんですよね。

 社会にはさまざまなお立場の方がいらっしゃって、それぞれにプライオリティが違ってくるから、その中で「脱原発」ということを最優先するというのもアリだとは思う。だけど、それが実現したことによって起きる影響により困るひとがたくさん生まれる、ということも間違いない。その困っているひとたちの「声」が上がった時、今回のデモの参加者の皆様はどのような「言葉」を持っているのか。「政府対市民」という単純な二項対立はあっさりと崩れ去ることになるだろう。

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さいきんのお仕事

『月刊宝島』8月号に寄稿しました。

宝島 2012年 08月号 [雑誌]
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宝島社 (2012-06-25)

 『月刊宝島』では「非モテってなんだ?」という短期集中企画をしていて、そちらに『インターネットと「非モテ」の15年史』という記事を書きました。
 前号では、雨宮まみ女史がお書きになられていて、その後ということで荷が重いなーという感じではありますが、『奇刊クリルタイ4.0』の内容をベースにして駆け足で俯瞰しています。
 このお仕事を頂けたのは、Parsleyが『クリルタイ』でいろいろやらせて頂いていたからで、republic1963編集長には改めて感謝です。
 ちなみに、このお仕事ではじめて顔出しをしました。Parsleyの素顔見たいという方は是非!

ももいろクローバーZが女子も魅了する理由

Z女戦争(初回限定盤A)(DVD付)
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 今、ももいろクローバーZの勢いがすさまじい。4月に横浜アリーナでの2日連続公演が大成功。6月に入ってからはじまったツアー、やくしまるえつこが作詞・作曲を担当した「Z女戦争」(おとめせんそう)のリリース、そして8月5日の西武ドームでのライブ決定と、加速度的に活躍のボリュームを増していっている。
 6月に入ってからは、さまざまな雑誌が表紙&特集を組み、Parsleyがお仕事させて頂いているニュースサイト『オタ女』でも取り上げさせて頂いた。

 新曲発売間近!ももいろクローバーZの勢いを各誌が大特集(オタ女)

 記事では触れなかったが、他にも『日経エンタテインメント』7月号が「会いに行ける最前線」という特集を組みももクロを表紙に起用しており、「”生”ビジネス」の代表格といった扱いをしていたことも特筆すべきだろう。

 他のアイドルに比較して、ももクロの特異点として挙げるべきなのは、アイドルファンに限らない女性の心も掴んでいるということだろう。20歳前後向けの女性ファッション誌のスナップにメンバーが登場する機会は2011年末頃から見かけられるようになっていたが、2012年に入ってからは、そのダンスの振り付けが注目され、『Popteen』4月号でエクササイズの特集が組まれるまでになった。それだけ、10~20代の女子にも彼女たちの存在が認知されるようになっている、ということになる。

 私は、たまたま3月24日に開催された『HARAJUKU KAWAii!!!! 2012 SPRING』でのももクロのステージを観ることが出来たのだが、これが圧巻のステージだった。普段の衣装とは違い、古着ショップ「スピンズ」とのタイアップのファッションで登場したのだが、ミュージックビデオと変わらない激しい振り付けのダンスを楽々とこなし、「行くぜっ!怪盗少女」では百田夏菜子が四連続馬跳びまで披露した。
 『『HARAJUKU KAWAii!!!!』は原宿・渋谷のファッションブランドのウォークを中心としたイベントで、アイドルに興味のない女子たちも会場には多数集まっていた。しかし、そのダンスと歌で彼女たちの視線も釘付けにし、最後にはモノノフ(ももクロファン)たちに混じって声援を送っている女子たちの姿を見かけることが出来た。また、記念撮影の際に、モデルたちの多くがももクロのそばに寄ろうとしていたことも印象深かった。
 
 彼女たちが女子にも支持されるのは、一言で表すなら「徹底したプロ意識」になるだろう。
 「Z伝説~終わりなき革命~」に代表されるように、特撮やアニメなどコミカルに見えるPVでも、本気で「役」になりきる。コマネチのような一見するとヘンなポーズを織り交ぜながらも、激しく動くダンス。そして、5人とも歌唱力という面でもネタ曲からバラードまで歌い上げることが出来ることも見逃せない。
 また、スターダストプロモーションという大手事務所に所属しながらメジャーデビューまで2年の時間を費やし、ライブを中心に活動していたという経緯や、ファンへの感謝で深くお辞儀をする謙虚な姿も、共感を集めるポイントだろう。
 つまり、idol=才能が特出している上に、努力を怠らず決しておごった姿勢を見せることのない5人だからこそ、同姓からも尊敬を含んだ支持を集めているのだ。

 『アイドル戦国時代』といわれて久しく、「会える」ということを売りにしているグループが多い中、ももクロは頭一つ抜け出しそうなのは、ネタ的なコンテンツでも全力で取り組み、身体能力や歌唱力といったパフォーマンスが圧倒的であるという、基本的なファクターだというのは、いろいろ示唆に満ちているように思える。

 ちなみに、Parsleyとしてはももか(有安杏果)推しであることを付け加えておこう。ももか超かわいいっす!