第十四回文学フリマ『PPP』出店いたします

 2011年5月6日第十四回文学フリマに、『PPP』として出店いたします。
 ミニコミ『箱-HAKO-』を発表してから、約二年ぶりの活動。今回は自前でのブースです。

 ■ブース詳細

 第14回文学フリマ
 2012年5月6日(日)11:00~16:00
 東京流通センター 第二展示場
アクセス

 『PPP』ブース 1F D-35会場内ブース配置図

 ※相沢ナナコ女史の『エンハンブレ企画』との合体配置になります。

 『Letter from the Underground』 Yuki Fujisawa & Yumi Fuzuki

 どこからともなくやってきた、メッセージ。それが、『Letter from the Underground』です。鉛筆画×詩のコラボレーションによる、イメージの拡がりによって、知らない世界が現出させるための「お手紙」。
 今回は、空想鉛筆画家の藤澤ユキ女史に「アリス」というテーマだけお伝えして自由に作品を描いて頂きました。
 そして、その細密かつ繊細、饒舌な作品を、文月悠光女史に余計な情報を伝えることなくご覧頂いて、やはり詩をご自由にお書き頂きました。
 結果的に、企画したParsleyの想像をはるかに超えた「異世界」が生まれました。
 画家・作家さんの想像力の素晴らしさを、より多くの方に知ってもらえる機会になればいいなぁ。

 そうそう。この『Letter from the Underground』は文学フリマ限定での頒布です。他では一切出さず、ネットにも上げないつもりです。もしかして幻の一品になるかもしれません。

 頒布予定価格:500円(限定100部・シリアルナンバー入り)

 頒布物

 ☆『せいへきかるた 白昼社版』
  
 スペシャルバージョン : 600円(限定10部)
 通常版 : 300円

 一部で話題をさらった「せいへきかるた」白昼社泉由良女史よるスピンオフです。自分の企画が広がっていて嬉しい!

 ☆『The Monster Room』 ※委託販売

 「せいへきかるた」にも素敵なイラストを描いて頂いたぴすどり氏率いる非実在生物系創作集団。
 詳細情報はこちらでご確認下さい。

 ☆CD『キュー・ファンファーレ! Vol.1』 ※委託販売

 一枚:2000円(文学フリマ特別付録 ショートショート「耳の長いうさぎちゃん」)

 グリニッヂ・レコードが放つ”「いま」を旅する音楽ファンのための、魂のサウンドトラック”。 プロデューサー/代表の津田真氏は、おそらくいま首都圏のライブを一番足を運んでいる方かもしれません。そんな彼がチョイスした17曲が織りなす物語は、映画的でもあるけれど、「文学的」でもあります。

 ■展示品

 ☆藤澤ユキ 『Letter from the Underground』

 最初に彼女の作品を観た時の「鉛筆だけでこれだけのものが出来るのか」という驚きは忘れられません。
 かなり大きくて迫力あります。当然ながら初展示です。ぜひご覧下さい。
 
 ☆横田沙夜 『キュー・ファンファーレ!』

 絵本をモチーフにしながら、兎頭を被る少女という独特のモチーフを展開する横田沙夜女史。今、都内ギャラリストの間でもっとも注目を集めているといっても過言ではないのでしょうか。
 そんな彼女が描いた『キュー・ファンファーレ!』のジャケット原画。展示は初となります。

 ☆蒼鬼ハル 「秘めた悲目の姫」

 「せいへきかるた」の裏面を描いて頂いた原画。展示販売もいたします。
 蒼鬼ハル女史は初夏にかけて数々のグループ展も控えています。妖しく肉感的な作風は、原画だと印刷物やデータとはまた違った魅力があります。

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 このように、売り物も展示する作品も多くて、にぎやかなブースになりそう。
 ご来場頂いた方にぜったいに損はさせません。
 5月6日、東京流通センターで逢いましょう。

コンテンツ立国と日本語生存戦略

 明日2012年5月6日には文学フリマが開催される。Parsleyも、個人プロジェクト『PPP』として出展します。
 ちょうどよい機会なので、めんどくさがりなParsleyが、わりとまじめに文フリやコミケなどの即売会で活動している理由をつらつらと記してみようと思う。

 まず、グローバルな視点で「今の日本という国にとって、強みって何?」と考えていくと、かつての「ものづくり」における技術的な優位性は失われつつあり、経済的にもシュリンクしていく傾向がある。80年代にはエコノミック・アニマルと呼ばれた日本人像は既にない。
 一方で、日本文化、特にユースカルチャーは、北米・ヨーロッパ・アジア各国の若者を中心に強い影響を与えている。ファッションだとゴシック&ロリータは欧州圏で浸透しつつあるし、原宿発という観点でいえば増田セバスチャン氏のブランド「6%DOKIDOKI」は北米を中心にツアーを行っており、熱狂的なファンに迎えられている。増田氏が美術監督を務めたきゃりーぱみゅぱみゅのPVは欧州各国のiTuneのランキングを席捲したのも記憶に新しい。また、ヴィジュアル系バンドも、欧州圏や南米などでもツアーを敢行するなど、ワールドワイドに活躍するグループが増えている。
 一方で、ニコニコ動画を中心としたCGM的なコンテンツや「歌ってみた」「踊ってみた」文化も、既に海を越えるムーブメントになっている。アニメ・ゲームソングをメドレーにした「組曲『ニコニコ動画』」は台湾でも熱唱されているし、太郎の「男女」は数々のPVが勝手に作られ、2009年にはベッキー・クールエルがYouTubeに投稿した「歌ってみた」動画が大人気になり、日本でデビューを果たした。
 こうしてみると、日本発のコンテンツは各国で受け入れられているし、中には「聖地」を訪ねるツアーによって来日する熱心な外国人ファンも少なからず存在する。
 で、こういった文化って、例えば「クールジャパン」で国が推されているようなものとは、また別のものなんだよね。
 一方で、二次創作にまつわる著作権関連の動きや「非実在青少年」に代表されるような各自治体の条例など、今挙げたようなCGM的なカルチャーにとっては障害になるような方向性に政治が進んでいるようにも思える。つまるところ、せっかく盛り上がっているところに「おとな」が水を差すような流れになっているように見える。
 別に文化予算を拡充しろ、という主張をする気はないけれど。既に過去のものになった「ものづくり大国」「技術大国」という幻想から抜け出して「コンテンツ立国」へと転換をはかるべきだとするならば、クリエイティブ・コモンズに基づいた著作権法の見直しや、表現の妨げになるような各自治体の条例の撤廃などの規制緩和が必要だ。要するに、余計なお金を使う前にまずは法律変えろという話ですね。

 そして、こういったカルチャーやコンテンツの「邪魔をしないこと」は、世界における日本語の「優位性」にもつながる、というのが私の考え。アニメを観るために日本語を勉強しているという海外の10代はかなりの数になるはずだし、コミケなどの即売会に来場している外国人は年々増えている。
 これから日本人の数は減っていくし、そうなると日本語のプレゼンスも何もしないままだと下がる。でも、日本発のコンテンツは海外からもニーズがある。ならば、日本語の読み書き出来る外国人を増やせばいい。そういった日本語の生存戦略を、真剣に考えるべきだ。
 で、例えばネットだったり、例えばコミケだったりから発するコンテンツって、クオリティが高ければ容易に海を越えてゆく。そして、そのコンテンツを知ったり読んだりするために、日本語の需要って高まっている。
 だから、日本人が一億人切るほど減ったとしても、一億人日本語ネイティブの外国人が生まれるような施策を、今のうちから取るべきで、その現場って既存の出版流通や音楽市場ではなく、コミケや文フリなどの即売会や、街のクラブだったりしている。

 だから、シーンにコミットする、という意味でも、Parsleyはこういった即売会に積極的に絡んでいるというわけなのです。『PPP』の活動も、今後とも継続してやっていくつもりですので期待せずご期待くださいませ。
 そんなこんなで。明日は東京流通センターでお会いしましょう。

 
 第14回文学フリマ
 2012年5月6日(日)11:00~16:00
 東京流通センター 第二展示場
アクセス

 『PPP』ブース 1F D-35会場内ブース配置図

 ■頒布

 ・『Letter from the Underground』 藤澤ユキ×文月悠光
  ポストカード(往復はがきサイズ) 500円(限定100部・シリアルナンバー入り)
 ・『The Monster Room』 ※委託販売 1000円
 ・CD『キュー・ファンファーレ! Vol.1』※委託販売 2000円  
 
■展示

・藤澤ユキ『Letter from the Underground』
・横田沙夜『キュー・ファンファーレ!』
・青鬼ハル『 秘めた悲目の姫 』

 詳細はこちらのエントリーをご確認下さいませ。

 

読売・毎日・朝日が衰退するたった一つの理由

 公立豊岡病院但馬救命救急センターが『マスコミの人間に心はあるのか』というエントリーで報道姿勢を批判し、特に読売・毎日・朝日の名前を挙げていたことに対して、三社が事実誤認だとして訂正を求めているという件。
 詳細は、J-CASTニュースの記事と『ガ島通信』様のエントリーを参照して頂くとして。

 亀岡事故、行き過ぎた取材だったのか 病院「心が腐っている」vs新聞社「事実誤認、訂正を」(J-CASTニュース)
 救命センターでの行き過ぎ取材はあったのか 新聞社と病院に取材を行いました(『ガ島通信』)

 結論からいえば、読売・毎日・朝日の三社はブログの内容に訂正を求めること自体によって、更に信用を失墜し、読者の新聞離れを加速させ、ひいては購読者数を減らすことにつながるだろう。

 前提として、事実誤認があった際にその訂正を求めるというのは、会社組織としては当然の対応であり、またブログとはいえ「メディア」だという以上、誤った情報を流してしまい指摘を受けた際は真摯に対応すべきだと思う。
 その上で。『ガ島通信』様は、各新聞社と病院側の公式見解を受けて、「読売、毎日、朝日については事実はないことことが明らかになっている」としているけれど、Parsleyの目からしてみると「ほんとうに?」と感じてしまう。記者が広報からの問い合わせに嘘の証言している可能性はないのか。大阪支局以外の記者が入っている可能性はないのか。系列の週刊誌などのライターが社名を名乗っている可能性はないのか。
 このような疑問を多くの読者に抱かせている、というところを、各社広報はまず真剣に受け止めるべきで、そういった視点からすれば今回の対応はまったくのマイナスだ。

 今回いちばん重要なのは、取材対象者=但馬救命救急センター側の不信を読売・毎日・朝日の三社をはじめとするマスメディアが買ってしまっているということ。
 簡単にいって、マスメディア人が取材対象者に対して「敬意が欠ける」と感じさせ、それの内容をブログに書かれる程のものだということだから、「誤認」を与えるようなことをメディア全体としてなされているということに対して、但馬救命救急センター側に謝罪の念を伝える、というのがほんとうに正しい広報対応だ。
 おそらく、今回の事実誤認・訂正騒ぎによって、エントリーを書いたセンター長の「マスコミ不信」は更に高まっているのではないだろうか。それは今後取材をする過程において、明らかにマイナスに作用するはず。

 Parsley個人の経験では、ネットメディアでお仕事をさせて頂くにあたって、取材対象者に了解を取ったつもりになっていても、それが意図通りに伝わらず、後に「聞いていなかった」といったクレームを受けることがある。複数の関係者間で、誰かひとりに話が通っていないだけでも、後々になってちょっとしたお叱りを頂く場合もある。
 でも、たとえこちらが十全を尽くしたとしても、不信を買ってしまったことには変わりないから、そこは「申し訳ありません」と、掲載メディアの中の人としてではなく一ライターとして謝る。逆にいえば誠実な態度で対応しないと、どこも取材できなくなってしまう。
 結局、マスメディアの記者って私みたいな木っ端ブロガーとは違って看板に守られているから、実際に強引な取材をしたとしても、最終的には会社が守ってくれるし、取材対象者の「信用」なんてどうでもいいんだろうなぁ、と感じざるをえない。
 そして、会社としては「信用」が大事なので、社を傷つける情報について訂正を求めるというパラドックスが起きているというわけだ。やれやれだぜ。

 あえて乱暴に書くと、事実がどうだったとか、「ジャーナリズム」とかはこの際どうでもいい。強引な取材を(特定のどこかではない)マスメディアが恒常的に行っているということ。そのことによって多くの取材対象者の不信を買っているということ。そして、当事者からの情報発信によって可視化され、多くの購読読者および潜在読者へも不信が広がっていること。ここがポイントなのではと思う。

 そう考えると、ブログエントリーの訂正を求めるという読売・毎日・朝日の広報対応は「お客様」意識に全く欠いている
 そしてそれこそが、既存メディアが衰退する唯一かつ最大の理由なのではないだろうか。
 各社広報は今からでもブログ記事の訂正と「誠意ある対応」とやらを但馬救命救急センター側に求めるのをやめて、取材記者に個人として菓子折り持参させて病院に訪れさせるべきだと、個人的には思うけれど。まぁ、そんな機微に長けた方がいらっしゃるなら、こんな騒ぎにはなっていないだろうしね。

 まぁ、商売よりも威信の方が大事だというなら、それでもいいけれど。こういった対応を続けていると新聞の購読者って減る一方でも仕方ないよね、と愚考する次第です。

そもそも結婚自体に価値がない・2012

 読売新聞の報道によると、生涯未婚の男性が2割を突破したという数字を、2012年版「子ども・子育て白書」に盛り込まれるとのこと。

 生涯未婚の男性、2割を突破…30年で8倍(YOIURI ONLINE)

 生涯未婚とは、50歳までに一度も結婚したことのない人を指す。2010年時点で、男性は20.1%、女性も10.6%と一割を超えている。
 北海道大学の町村泰貴先生がエントリーで、吉広紀代子女史の『非婚時代』に触れて、非婚は戦後世代の一貫した傾向だったと驚きとともに述べていらっしゃるけれど(参照)、高度成長期における核家族化によって、「ひとりでも暮らしていける」という「自由」を発見したのは団塊世代だったりするし、簡単にいえば、「家と家とのつながり」という文脈での「結婚」は、その頃に既に崩壊の兆しはあった。

 Parsleyは、2009年にPHP研究所の月刊誌『Voice』Gooニュースとの連動企画で婚活をテーマに「そもそも結婚自体に価値がない」という挑発的な論考を書かせて頂いた。
 そこでは、かつての大家族的な結びつきという意味で、本人同士だけの問題に留まらないものだった「結婚」と、それに基づく「婚姻」という法制度が古びていて、「自由」をプリインストールされた上に、バブル経済の崩壊を目の当たりにし「失われた20年」を生きてきた世代にとって「結婚」の価値って下落する一方だよね、と我ながら見も蓋もない主張を展開している。
 そこでも簡単に触れているが、私のようなロスジェネ世代が見てきたマンガ・アニメ・ドラマなどのほとんどは、「恋愛」の末に「結婚」するというプロセスのみしか提示していない、ということだ。つまり、結婚は「家」同士のイベントではなくなって、ふたりだけの「個々」の人生上のイベントに過ぎなくなっており、社会風潮もそれを後押ししてきた。それを今更、「人口減でたいへんだから少子化対策を!」というのはねぇ…。
 
 Parsleyが今、いちばん好きなマンガは西炯子の『姉の結婚』。「もう恋愛や結婚は諦めた」というアラフォー図書館司書の岩谷ヨリの前に、中学時代の同級生だったイケメン精神科医の真木誠が現れて…というストーリーなのだが、「晩婚」に関していろいろと示唆に満ちている。
 まず、恋愛にしろ結婚にしろ、年齢を重ねる程に個人の「自由意志」以外の要素でリソースを割く理由がない、ということ。次に既婚者が「恋愛」をする自由が、法律上は認められていないけれど、実際には行われるのが人間の性というものだよね、という肯定がされていること。
 『姉の結婚』では、ヨリは地元に戻ってきているにも関わらず家族とは離れひとり暮らしをしている。家族は影のように存在を示唆してくるが、直接的にヨリに干渉してくることはない。
 そうなると、肉体関係もあって、お互いに過ごす時間もある大人の男女が、敢えて婚姻届を出すだけの意味は一体どこにあるのか。この疑問には、お互いを法律という鎖で「縛る」ため、というのが一番分かりやすい答えだと思うのだけど、真木のように結婚しているにも関わらず「恋愛」していて実質的に鎖が機能していないこともままあるとなれば、さらに戸籍を一緒にする意味ってなにかありますか、という話になってしまう。

 私が展開した「結婚なんて価値がない」というそもそも論に、婚活論客は一切乗らなかった。まぁ乗っかっちゃったらお仕事なくなってしまうから無理もないのだけれど、彼らの少子化の社会的問題との結びつきや、心理的な問題によって、「結婚」というシステムが延命されていることで、様々な軋轢が起きているということの結果が婚活ブームの実態だったと個人的には考えている。
 「婚活」でよく女性に対して「高望みを捨てろ」というアドバイスが見られるけれど、仮に子供ふたりの四人家族を営むと仮定するならば、最低でも年収650万~700万ないと維持するのは難しい。男性が年収400万だとするならば残りの250~300万円は女性が稼がないといけないのだけど、彼女たちが働きながら子育てをするにしては、保育所は足りないし、育児休暇を取るのに良い顔をしない企業も多い。簡単に言って社会が子育てをするにあたってのリスクをたくさん作っている。
 そんな中において、主に年収面で女性に「高望みを捨てろ」というのは「子供を諦めろ」と言っているのに等しい。そうすると、ますます結婚する意味って何ですかねぇ、というそもそも論に戻ってしまう。特に少子化と婚活を絡めて論じていた皆様は、かなり矛盾していますよね、と思わざるをえない。

 さらに、繰り返しになるが、心理的な充足は婚姻届を出すことによって解決した気にその瞬間はなるかもしれないけれど、それの持続性は怪しいところがある。かつては「家族を守る」ということが担保となり、多少の「事件」を経ても乗り越えていく、という機能が働いていたが、子供を作ることにリスキーな社会においてはパートナー同士の問題となり、結果として「結婚」の価値は下落してしまっている。

 Parsley的には、まず「結婚」と「少子化」の問題は切り離して考えるべきだということ。制度を守りたいのか、出生率を上げたいのか、どっちかを選ぶべきで、もし後者が民族としてのクリティカルな課題だというのなら、結婚という制度を見直す必要がありますよね、ということ。法制度は変えたくないけれど少子化は解消したいというのは無理な話なので、政治家や厚生労働省の皆様だけでなく、「婚活」論者やそれに踊らされてしまっている皆様は、そのあたりを真剣に考えたほうがいいと愚考する次第です。

姉の結婚 1 (フラワーコミックス)
西 炯子
小学館 (2011-05-10)