ボーカロイドはスウィングガールの夢を見るか

 世間的、というかオリコンチャート的にいえば、2011年はAKB48の『フライングゲット』の年、ということになるのだろうけれど。
 おそらく10年後から俯瞰して見た場合、2011年は初音ミクの『FREELY TOMORROW』の年ということになるのではないだろうか?

 7月31日にアップされたこの曲は現時点で123万回再生されている。この曲自体、「初音ミク」というボーカロイド現象(と、あえて呼ぶ)の集大成的な作品として位置づけられるし、機械的なサウンドの「ぬくもり」というYMO以来のテクノポップの正当な後継者と呼ぶことも出来るだろう。何より、詩曲のポジティブさが、社会的な観点からもっと注目されてもいいと個人的に思う。

 この曲があっという間にスタンダードナンバーになっていくのは、「歌ってみた」があっという間に沢山投稿され、「着うたフル」で配信されるようになったこと(参考)ことでも明らかだ。
 そんなフォロアー達の中でも、ちょっと異色だったのが、yonemikuという女性がミクのコスプレをしてテナーサックスで『FREELY TOMORROW』を吹いている動画。たまたま知り合いの音楽事務所の育成中の娘さんだったのだけど、これが上手いんです!

 『初音ミク』がクリンプトンから発売されて4年。数々の「名曲」も増えてきた。そうなると、各地の吹奏楽部でボカロ曲が演奏されるようなってもいいような気がするなぁ、と思ったら、やっぱりちゃんと楽譜集売っているんですね。「ブラック★ロックシューター」「ワールドイズマイン」など12曲が収録されている。残念ながら、大バンドでの演奏の動画は見つけられなかった。どこかの文化祭で演奏されているのかしら。

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 いずれにしても、さまざまな天災に見舞われている2011年。そのつながりを維持したり取り戻すきっかけとしての音楽という位置づけは、今後ずっと大事になる。タイトルでは『スウィングガール』を挙げたけれど、あの映画は漫然とした日常を「気付き」を経て能動的に書き換えていく、という話だ。
 もっと前の作品だと、1996年制作のイギリス映画『ブラス!』だと、社会的な「うんざり」とした中でも「生きる力」を失わないよう、皆でバンド演奏をする、という話を切実だが滑稽に描いた作品だ。
 今のところ、2011年の音楽は、個人個人がネット上にアップする曲が、「誰か」に響くという、個対個でのみ機能しているように感じられる。これが、多対多になるとしたら。それにボーカロイドも一枚咬むとすれば。これほどハッピーなことはないじゃん、と思うのだが、どうだろうか??

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乙女男子だからワンピース着ますけど、何か?

 9月16日からは渋谷PARCO PART3の30周年記念ということで、様々なセールやイベントが行われていた。そのうち、宇野常寛氏や『ACROSS』編集長の高野公三子女史が登壇されるトークショーも開催されていて、傍聴していたのだけど…。運営側・アパレル側と宇野氏との「言語」の違いにくらくらしたというか、完全に運営サイドが提唱する「parts of dress」という概念が先行しすぎていて、別のレイヤーで話をそれぞれにしていたので、非常にもどかしい内容で残念だった。

 事前に、各ショップをまわってみたのだけど、アイテムはどれも素敵なんですよ。もう一度お邪魔して物色しようと思ったくらい。それがうまくプレゼンできてなかったのは、登壇者のファッションに、「parts of dress」の精神が全く感じられなかった、ということが一番の要因だろう。
 
 ファッション業界を見回して歯がゆく感じるのは、その「遅さ」だ。
 ドレスアップのために、アイテムを加えて着飾り、自分のアイデンティティを主張する、というのは、電車に乗って女子高生を観察すればすぐに分かる。彼女達は制服などの制約の中で、髪飾りだったりバッジだったり、アクセサリーを加えることによって、「個」を主張している。
 そういった彼女たちに、「parts of dress」を説明しても、「それってもうアタシやってるし」で終わってしまうのではないだろうか。
 twitterのファッションクラスタでは、『ファッションは語りはじめた』という本が話題だけど、遅い遅い、と思う。もう既に、個々人のスタイルをファッションで表現する/しないという選択を皆がするようになっているのだから、「語っている」のを「発見した」に過ぎないのだ。

 さて。ここで孤高の乙女男子を標榜する私Parsleyの卑近な話にしてしまうのだけど。
 いつからか自分のワードロープからはメンズのアイテムの割合がどんどん減っていっている。というか、ほとんどがレディスになっている。理由は簡単で、レディスの方がアイテム数が格段と多く、より自分のスタイルに合ったアイテムと出会える可能性が高いからだ。
 そして、ある時私は「ワンピース」を発見した。
 いや、ワンピースってほんとうにラク! 全身の力を抜いて着ることが出来る。女の子って、こんな服を着ていたんだ、という衝撃を受けた。
 考えてみれば、イスラム圏では男性も白いカンドーラを皆着用しているし、オトコだってワンピ着てもぜんぜん問題ないんじゃない?
 それからのParsleyは積極的にワンピースを着るようになった。なんせ、その格好で霞ヶ関行って大臣会見に出席してるもんね!(笑)

 つまり、私のアイデンティティからしても、ワンピースを着る、という行為はごくごく自然なことになっていった。
 また、意外にもノイジーな声はあんまり聞かれずに、むしろ「かわいいですね」と声かけてくれる方が多かった。まぁ、お世辞で言って頂いているのかもしれないけれど(笑)。

 というわけで、私以外にも「ワンピ男子」が増えるといいなぁ、思っている次第。ほんとうにいいよ、ワンピ。カワイイ柄のものからモノトーンまでいっぱいあるし。ワンピ最高!!
 そういえば、モデルの武智志穂mysty womanとコラボしたアイテムがかわいすぎる!(参照
 お値段も手ごろだし、この秋のマストアイテムになりそう。もちろん、自分なりにアレンジして着こなしたいと思います!

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『PS』10月号を読んだ。

 表紙は蒼井優。グラビアを観ると、だいぶ髪伸びたな~という感じ。ネイビーにレトロカラーを合わせる、というのは、簡単そうで難しいテクニックなので着こなしが参考になる。少しモードが入って大人っぽい印象が強く、特にブルーを合わせた10Pのマフラー+コート+ワンピースが素敵(お値段も高いけど)。

 今秋は「レトロ」「靴下」「ポンチョ系」がマスト、ということで、丸襟ブラウスやクラシカルワンピが脚光を浴びるよう。色も原色よりも少しくすんだ感じのマスタードイエローやボルドー(ワインレッド)などが紹介されている。
 靴下は、ラメ入りやフリル付きなど、さりげなく存在を主張するアイテムが多いようだ。スニーカーと合わせてハズす、というのが面白そう。
 ポンチョは、粗いニットではなく、シャツポンチョだったり起毛のチェックだったり、一枚ですっぽりと中を覆うタイプがほとんどだった。個人的には58Pに紹介されていたアナザーエディション10周年記念のグラフィックが印刷されたひらひらの一枚が気に入った(が高い…)。

 あと目立ったのは、小学館文庫のイメージキャラクターにも起用された菊池亜希子が一ヶ月コーディネートで8P、Ciaopanicの記事広告の4Pの計12Pにわたってフィーチャーされていること。おそらく休刊後もモデルとしても女優としても活躍の場を広げていくと思うので、来年以降も彼女の動向は注目していきたいところ。

 あと、今月の俳優紹介にはゴセイレッドこと千葉雄大くんが出ていた。カーキー色の帽子+白カーデ+ブルーのショートパンツの組み合わせがかわいい!気になる色はピンクだそう。

 最後に。映画『僕たちは世界を変えることはできない。』のパブリシティ込みで、ボランティアの特集が5Pにわたって割かれていた。大学生のボランティアサークルが中心だったけれど、もう少し「参加することの意味や意義」といったところにも言及があってもよかったように感じた。