『日本の若者は不幸じゃない』を読んだ。

日本の若者は不幸じゃない (ソフトバンク新書)
福嶋 麻衣子 いしたに まさき
ソフトバンククリエイティブ
売り上げランキング: 15157

 1月22日に、共著者のもふくちゃんことモエ・ジャパン代表・福嶋麻衣子女史が運営する『MOGRA』「Ordo Time」というイベントを開催して、帰りの電車の中で本書を読了。なんだかいろいろ考えさせられた。

 ここで紹介されているディアステージに関しては、気になる方は速攻で行くべきだと思う。『みたいもん!』のいしたにまさき氏が担当されている章でのアキバカルチャーのアキバ以外への拡大・偏在や『らき☆すた』や『けいおん!』『ラブプラス』といったコンテンツが地域にもたらす影響などについては、拙エントリーでも紹介させて頂いた田中秀臣先生の『AKB48の経済学』と併せてお読み頂くのがいいだろう。これらについても興味深い事例ではあるがこのエントリーでは触れない。

 もふくちゃんがおっしゃる、「若者が不幸じゃない」というのは半分は首肯するし、むしろ彼女の肩を持ちたい。「生まれたときから日本はこんな感じで、今さら不況だからどうとか言われてもよくわからない」というのは『小悪魔ageha』2009年3月号の表紙コピーだが、バブルを経験していない若者にとってはそれが普通だ。
 「職」と「金」に関しては、バブル期以前と比較して現在の若年層が厳しい状況に晒されているのは各種統計から見ても明らかだ。だが、この二つのファクターを著者は「不幸」の基準にしない。「お金がないこと、貧乏であるという感覚が、私にも私にのまわりの若い人たちにもあまりない」と記す。
 なぜ彼らに(そして私Parsleyにも)不幸感がないかといえば、「好きなことをやっている」若者が格段に増えたからだ。定職にしろ派遣やバイトにしろ、お金を稼ぐことは必要充分にとどめ、リソースは趣味に費やすというライフスタイルを貫けば、精神的な充足には満たされる。
 加えて、本書でいうところの「クラスター」に入っていれば、何かをする「仲間」を得ることも出来る。インターネットやソーシャルメディアは、「ひとりぼっち」を回避するには最適のシステムといえるだろう。同好の士や、仮に辛いことがあっても「想い」を共有してもらうひとを見つけることが、ネット以前よりも格段にしやすくなっている。つまり精神的な「居場所」は確保されている。だから、「若者は不幸ではない」、と著者は繰り返し述べる。この感覚は個人レベルでいえば半分は正しい。

 先程から「半分は」という留保を付けているのは、「終わらない学園祭」というビジネスモデルが、ほんとうに『ビューティフルドリーマー』のようなNever Ending Storyになれるのか、懐疑的にならざるを得ない部分があるから。
 20代のうちはまだ大丈夫かもしれない。でも30を過ぎると、結婚だとか人生設計だとかを他者、とりわけ家族から求められる風潮が日本ではまだまだ強い。また、オタクカルチャーについても、クラスターの外の人間、とりわけ親族などの理解を得ることが難しい場合がある。そういった「世間」と対峙しなければいけなくなった時にも、「好き」を貫くことが出来るかどうか。思い切り突き放して言えば、その人の真価が試されるのではないだろうか?
 個人的には、前のエントリーに記したように(参照)、「ものづくり」の概念が製造業よりもコンテンツ制作にシフトしつつあると考えているから、何歳になっても「好き」なことを続けられるように社会的な意識の変革が必要だと思うが、制度以上に日本の「空気」を変えるのは簡単なことではないだろう。

 もう一点、残念だったのは、「男の子と女の子の考え方の違い」という項(33P)で、「家族・実家という居場所を確保されているからこそ、女の子たちは自由な選択肢を持つことができているのではないか」とあるけれど、これって男女で不平等だということを認めることになるし、そもそもこの不況の下では実家の経済状況が傾くケースも珍しくない。そういった想像力が欠如している部分がちらほら見られるところが、「幸福」=「居場所を持つ者」の傲慢と受け取られかねない。
 また、趣味や楽しみを見つけられないひとはどうすればよいのか、といったことに対しても言及がない。そういうひと達はこれまでの価値観に従って就活や婚活に勤しむしかないのか。そういった「好き」を見つけられないひとは本書の価値観では救いようのないひとたちになってしまう。

 とはいえ、高度成長期の幸福感と、現在の若者の幸福感とは違うと、当事者から明確なメッセージが発せられた意味は非常に大きい。オタク=アキバカルチャーやコンテンツを軸にした地方の活性化へのヒントも示されているし、是非ご一読をおすすめしたいと思う。

うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー [DVD]
東宝ビデオ (2002-09-21)
売り上げランキング: 2831

「ものづくり」のシフトと情熱のシフト

 昨年を振り返ると、コミックマーケット文学フリマだけでなく、コミティアM3といった、いろいろな展示即売会に足を運ぶ一年だった。
 そこで考えたのは、日本人の「ものづくり」への意識やモチベーションが、製造業などから自意識の発露=コンテンツ制作というところに移りつつあるのではないだろうか、といったことだった。

 これまでは、本を作ったり、CDを作ったり、DVDを作ったり、動画番組を作ったりするには、多くの人員と機材、それを用意するための資本が必要だった。
 それが、PCの普及やツールの発達といった要因などで、劇的にコストが減り、個人でも制作することが可能になった。
 しかし現状のコンテンツ流通のほとんどは、そのような個人製作のコンテンツの販売をする仕組みが未整備のままになっている。
 そこで台頭してきたのが、「同人」という販売チャンネルだ。
 コミケには3万5千ものサークルが参加していて、昨年末のC79では3日間の来場者数はのべ52万人にも上る。あえて書くが、年末で最終日が大晦日だというのに、それだけの人数を動員しているのだ。このことは、一部のオタクだけの祭典ではなく、社会現象として認識されるべきだ。

 最近のコミケで面白いなぁと感じるのは、大学・学会・プロジェクトでの研究成果を「同人誌」というテイストで出したり、広告代理店や大手メディア勤務の方々が集まって「同人誌」を作ったり、これまでレガシー側のひと達も、コミケでブースを構えるようになってきていること。

 前者では、駒澤大学グローバル・メディア・スタディーズ学部准教授の山口浩先生がGLOCOMで実施したプロジェクト、「ネットの力、みんなのチカラ」をまとめた冊子を冬コミで頒布していた。(参照
 何がすごいって、表紙。「津田大介さんを女体化してうさ耳装着させたものであるとの噂もある」といういかにも「同人」なテイストの女の子のイラストなのだ。で、中身は、山口先生や津田氏をはじめ、経済産業省の情報分析官・境真良氏といった講師陣が、あくまで固く真面目にネットと社会について講演した内容になっている。この落差がすごい。
 おそらく、ひと昔前ならば、一般の出版社から刊行されて、書店に並んでいたであろうコンテンツを、自前でやってしまえるという意義はとても大きいように思う。あえて「同人誌」というガワを纏っている、というところも含めて。

 後者では、産経新聞の猪谷千香記者や広告会社・出版社勤務の女子有志が集まって刊行していた『久谷女子』が挙げられる。
 こちらは難しい話は抜きとして、ひたすら「web女子」の実存問題が語られる。もちろん職業上の話も出てくるけれど、あくまで「ほんとうの私達を知ってほしい!」という欲求が、この同人誌が作られる理由になっているように思える。
 たぶん、ひと昔前ならこういった企業の方々が有志で集まってコンテンツを作る、ということは(社風などの理由により)難しかったのではないかと思うし、そもそも出版のインサイダーがメンバーに連ねているのに、コミケに出る、という発想が生まれてこなかっただろう。

 コミケに限らず、同人誌即売会と呼ばれる空間では、自分の作った「もの」に対する愛や自己承認欲求に加えて、「ものづくり」への情熱がゆんゆんしている。おそらく、それまで製造業に傾けていた情熱が、どこかで「自分だけの」「ものづくり」にシフトしたのではないだろうか?

 東京都の改正青少年健全育成条例が、若年層から過剰なまでの拒否反応が出たのは、そういった「ものづくり」を阻害される、という本能的な怖れの表れだということに、為政者側は気づいていない。
 「自由な表現は、どんなことがあっても守ります」。こんな簡単なことが、新しい「ものづくり」を支えることになり、それがこれまでとは違ったイノベーションの種になるということを、多くのコンテンツホルダーやメディア経営陣も気づいていない。

 政治政策と一般人の表現欲求の「産業化」への齟齬。その「ひずみ」の場としてのコミケ。
 Parsleyからいえることは、とにかくその場にいる、ということが今の日本が何を求めているのかを知るきっかけになる、ということだろう。
 

 
 

『クリルタイ Presents Ordo Time』1月22日開催です!

 来る1月22日14時(土)より、面白集団『クリルタイ』主催でイベント「Ordo Time」秋葉原MOGRAにて開催いたします!(参照
 「オルド」といっても、決してえっちいことする会じゃないので安心して!!

 詳細は、こちらをご参照を。参加希望の方は「Will you be attending?」で「Yes」をクリックするか、tiwtterにて@khuriltai宛まで「Ordo Time予約希望!」とリプライを頂いた方は、当日2500円(1ドリンク付き)のところ2000円に割引になります!

 今回Parsleyは、企画・ブッキングといったオーガナイザー的なことをやっております。なりゆきでMCもやります。

 それまで「クラブなんて行ったことないよ…・゚・(つД`)・゚・」という方でも、お気軽に楽しめるイベントにしたいと思っているので、みんな来て来て!!

 また、同イベントでは、『奇刊クリルタイ5.0』『箱[HA-KO]』の物販も行います。
 当日、トークセッションにご出演の坂口トモユキ氏がコミケで発表し話題をさらった痛車写真集『Ita☆sha 乙』も販売いたします。
 まだ未入手という方は、これを機会に是非!!

ほんとうの「会見開放」と「ジャーナリズム」

記者会見ゲリラ戦記 (扶桑社新書)
畠山 理仁
扶桑社
売り上げランキング: 1581

 畠山理仁氏のマガジン9での連載「永田町記者会見日記」が書籍化され、『記者会見ゲリラ戦記』として刊行されたことには、大きな意義があるだろう。大臣会見や検察の会見に出席出来るのは、「記者クラブ」に所属する組織の記者に限られる、という事実は可能な限り広く認知されるべきで、畠山氏の活動がこのような形でまとめられ、多くの人に会見の実態を知って貰えればいいな、と思う。
 その一方で、民主党政権になり一年以上が経過し、一部でも大臣会見が開放されたことに対して、出席しているフリージャーナリストの皆様が活動についても、批判的な視点で捉えざるをえないな、というのも、本書を読了して感じた。

 まず、大臣・各官庁の会見は「記者」会見に限るべきはなく、情報公開という観点からも広くあまねく一般人も出席できるようにするべきだ、というのがParsleyの主張になる(拙エントリー参照)。昨年、数回にわたって私自身も会見に出席してみて、その思いを強くした。
 というのも、既存メディア所属の記者の多くが、「ニュース」になる同じ質問を繰り返し、本来の国民生活に有益と思える情報について「取材活動の場」として会見を活用していない情景になっていたから。それって社会的にほんとうに重要な情報を得るための質問なのだろうか、と首を傾げる内容も少なくなかった。各省庁のトップに直接相対する時間なのに、もったいない!

 畠山氏や上杉隆氏、岩上安身氏、田中龍作氏といったフリーランスの方々の大臣会見オープン化の活動がいまひとつ一般に浸透しない理由として、ジャーナリストの縄張り争いに矮小化され、多くの一般人にとって対岸の出来事のように捉えられていることがあると思う。
 もっというと、フリージャーナリストが出席することによって、大臣会見の場の「質」が上がるのか、一般人にプレゼンテーション出来ていない。だって、「記者会見のオープン化」に対する質問しかしてないから! この問題に関心のない一般人にとってみて、それって公益性あるのか、という疑問がつきまとう。
 畠山氏の『ゲリラ戦記』を読むと、しばしば大臣などに好意的な記述があり、「あの~思いっきり権力に取り込まれちゃっているんですけれど…」と感じる箇所がある。特に亀井静香氏が実施した「第二会見」にその傾向が強い。
 また、畠山氏らの呼びかけで開催された2010年5月12日の「亀井大臣オープン市民会見」に私も出席したが、その場は「会見」というよりもどちらかというと「後援者の集まり」といった空気で、とても亀井氏にとってアウェーな空間ではなかった。彼はそこで小泉純一郎氏の郵政改革に対する持論を延々と展開していたりしていた。最後、亀井氏が退出する時はなぜか握手攻め。
 「権力監視」って簡単じゃないなぁ、と思うと同時に、「第二会見」に出席している「記者」の皆様が亀井氏の手のひらで踊らされているのがはっきりと分かる会だった。

 あと。年末に記者会見・記者室の完全開放を求める会が総務省記者クラブに「事情聴取」(by田中龍作氏)された。その時に渡したという「申入書」の中に「記者室の自由な使用」という項目があるのだけど、一般人の感覚からしてみたら「おいおい」という感じ。
 記者クラブの情報が集中することと記者室が公費でまかなわれていることは表裏一体の問題で、どちらかを切り離して考えるべきではない。だいたい、今なら会見の時間連絡なんてメールor携帯メールをBCCで一斉送信すれば済むわけだし、記事も専用の机で原稿用紙に向かう時代でもあるまいし、その場でPCで書いて送信すれば済む話(というか多くの記者さんはそうしている)。どちらも存在自体が時代遅れなのだ。
 いずれにしても、会見開放を求める会の呼びかけ人になっているフリーの皆様は、記者会見場に自分が入ることが出来ればそれでよいのか、記者クラブ・記者室の廃止を主張しているのか、旗幟をはっきりと表明すべきだろう。

 話をもとに戻す。岩上氏が既存メディアに対してフリーが「多勢に無勢」とおっしゃっていたけれど(参照)、ならば会見を「記者・
ジャーナリスト」だけでなく「誰でも参加可能」にまでハードルを下げて、既存メディア社員が「無勢」になるようにするべきだ。

 とにかく、Parsleyとしては、政局ばかりに汲々としている政治家たちにうんざりしているし、「会見全文」といいつつフリージャーナリストが質問した部分を消すといったみみっちい情報操作をする既存メディアは潰れた方がいいと思うし、「会見のオープン化はいつ実現しますか」しか質問しないフリージャーナリストのレベルってどうよと思うし、社会性というものに無関心なアルファブロガーの皆様には失望しているし、「マスゴミ」と言いつつニュースソースを鵜呑みにしてあーだこーだ言っている2ちゃんねらー&ついったらーはウザいし、全てに対して超むかついている。

 だから、私は私の出来る範囲で、会見室の空気を一変させるべくいろいろ動いてみることにした。たぶん、既存メディアの中の人でもない、フリージャーナリストでもない、これまでにないアプローチをやってみる。どこまで実現出来るかは分からないところだけれど、期待せず期待してお待ち下さい。

『PS』2月号を読んだ。

 あけおめ、ことよろです。今年最初の記事は、恒例の『PS』読み合わせで。

 表紙は吉高由里子。「オトナ化計画」というテーマだが、彼女の顔立ちとプロポーションだとミリタリーバッグはやや不釣合いな印象だった。「パワーカラーに思いきって挑戦したい」「ハイコントラストな配色を大胆に」「ゆるドレスをオトナめにまとう。」「ガーリー小物を効果的に投入。」も、ちょっと子供っぽいかな…。29Pのベージュニット&フラワー柄パンツのコーディネートはよかった。

 今号は前号に引き続いて、FRAPBOISとのコラボに付録で、ネコ柄のコンパクトミラー。少し大きめで、前号付録のバッグの外ポケットにちょうど入るサイズ。使いやすそう!



 また巻頭で夏帆がFRAPBIOSコラボのグラビアに登場。どの着こなしも素敵なのだが、中でも4Pのレース付きパーカー&斜めに切られたTシャツワンピ+七分丈レギンスの組み合わせは雰囲気を真似してみたい。この写真が、猫の銅像と一緒に写っているのもポイント高し!

 SNAP特集は、とりたてて記するべきことはないけれど、ベージュ率高いなぁ、という感じ。
 次に来る『菊池亜希子が認定!「このコおしゃれ」なOJIガール・山ガールSNAP』は若干苦笑するようなコーデだけど、男目線を一切シャットダウンする姿勢は買いたい。でも実際に、チノパンはいている子や、派手めなカラーのアウターにユニクロのキルティックダウンとか選んでいる子は東京でも目立つようになってきているよね。

 昨年の『PS』は年間を通して河北麻友子&入夏推しで、特に入夏の躍進が目立った。今号を見る限り、ヴァージン・アトランティック航空とのコラボ企画でポール・スミス卿にロンドンを案内させたり(!)、春コレのオマージュ企画に登場したりして、その地位は揺るがさそう。
 でも、その影で、秋元梢が出演の機会を増やしていて、MTVの『PS』編集部も通常するリアリティドラマ『SHIBUHARA GIRLS』に主演するなど、2011年は飛躍の年になる予感。要注目。

 あと気になったのは、前号では「アルパカEYE」とデカ目をレクチャーしていたのに、今号では蒼井優&宮崎あおいのメイクを担当している赤松絵利女史が指南するナチュラルメークと、真逆の方向性を示していたのにちょっとクスリとしてしまった。

 四色ページでは、「お悩み解決」特集。靴ずれしてしまう、というお悩みに「足の四騎士」が答えるというページは、困っている方は必読。あと、「お金がまったく貯まりません」というお悩みに、堀江貴文氏(実業家)が「むしろ溜め込まないでどんどん使おう」とアドバイスしているのには「をいをい」と思いました(笑)。こういうコメント取るのいくらかかるんだろう?

 ちなみに、映画コーナーで紹介されているのは『ソーシャル・ネットワーク』。書籍コーナーでは、松岡修造氏(プロテニスプレイヤー)が三田誠広氏の『夫婦の掟―妻に嫌われない方法』を自著とともに紹介しているのには笑った。…って、1999年の本を入手のってかなり困難ですよ。最寄の図書館で検索して予約すれば読めるかもしれないけれど。