AR(要するにセカイカメラ)はなぜ大きく報じられないの?

 先日『シロクマ日報』様が「AR(拡張現実)アプリ、スマートフォンの4台に3台が搭載する時代に?」というエントリーを上げていらっしゃって、オランダ発のARブラウザLayarがアンドロイド・iPhone・シンビアン・badaと主要なスマートフォンをカバーする体制が整いつつあるということをレポートなさっていた。それを読んで「やべーARアツいな~!!」とParsleyは思うわけなんだけど、セカイカメラという主要なプレイヤーがいるにも関わらず、Second Lifeの狂騒などと比べると、主要メディアの扱いが小さいなぁと感じざるを得ない。

 Second Lifeはリンデンドルが現実通貨と交換可能ということが注目され、日本経済新聞をはじめとする主流メディアが一斉に報道するとともに主要広告代理店・大企業が次々いプロモーションを展開するという流れだった。結果はご存知の通り、死屍累々といった状況になった。

 ARは、昨年秋のセカイカメラのリリースがあり今年のはじめまではネットメディアで取り上げられていた。が、特に紙媒体やTVで報じられているということは聞かない。
 セカイカメラはみんなの経済新聞ネットワークとの提携やParsleyも大好きなSweet Vacationとのコラボ「AR恋文横丁」(渋谷では「街なかソーシャルブックマーキング」という実証実験も行われていた)メジャーなところではJリーグとなど、様々なプロモーションを実施している。最近だと、東京国立新美術館でのマン・レイ展に併せて黄金の唇型のエアタグが六本木を埋め尽くしている。(参照
 シンポジウムでも、ARに特化したはじめてのイベント「ARE2010」や「世界ICTサミット2010」などに井口CEOが登壇しているのだが、日本のメディアの反応は鈍いといっていいだろう。
 iPhoneだけでなく、Androidやau、iPad版など次々にリリースし、着々と勢力を伸ばしており、世界と勝負できる数少ない企業の一つと思われる頓智ドットに注目しないでどうする、と私なんかは思っちゃうのだけど。

 注目されづらい理由を考えると、まずARという技術が「分かりづらい」ということがあるのではないか。twitterの意味が分からないおじさま達にエアタグの付加情報の価値を理解してもらうのはかなり難しそうだ。
 次に、現状ではスマートフォンのシェアがiモードなどに比べるとまだまだだということはあるだろう。おじさま達の間では、スマートフォンはガジェットオタクのものという偏見があるような気がする。
 そして、たぶん最大の理由は「カネの匂いがしない」からだと思う。Second Lifeが仮想経済と結びついていて「ミリオネアが誕生した」という物語つきで喧伝された。そういった撒き餌が、今のARには足りないように感じる。

 まぁ「AR恋文横丁」でも実施していたようなiTuneストアとの連携が出来るのなら、他のECサイトとのコラボなど、マーケットの拡張につながる施策はいくらでも思いつく。そういったことを頑張っていけば、評価は後からついてくる。

 それにしても。せっかく世界に伍せるサービスが生まれたのだから、もっとセカイカメラのこと応援しようよ!
 メディアの冷淡さに、歯痒い気持ちを抱いてしまうのも確かなのだ。
 
 
 

Twitter議員の動き&「静かな」選挙戦

  参議院議員選挙公示後、各twitter議員の皆様の対応が微妙に違っていて面白い。自民党の世耕弘成議員がおっしゃるように、「各自がよく考えてやるしかない」というグレーな状況がよく分かる。
 BLOGOSでは津田大介氏が「当選確実なう」という記事を寄稿して、今後の様子を注視していく姿勢のようだが、Parsleyもそのあたり興味津々なので先回りしていろいろチェックしたのをメモがわりに記しておく。

 もちろん、候補者は当然のこと、応援をする衆議員・非改選の参議員の皆様の多くがつぶやきを自粛するという安全策を選んでいる。まぁ、無難な対応といえるだろう。
 そんな中、つぶやきをやめない議員さんも中にはいる。世耕議員は、「候補者名や応援といった言葉は使わないようにし、内容も慎重にやってます」と述べつつ(参照)、ツイートは継続している。みんなの党の浅尾慶一郎議員は「選挙以外のことなら呟けるというのも、ちょっと変だなと思う。」とおっしゃいいつつ、遊説先と思われる場所と自身のTV番組出演のことをツイートするということにしているようだ。民主党の松浦大悟議員は、あまり公示前の変化がない。というかこの方はそもそも政治活動のことをあまりツイートしないからなのだが(笑)。

 そんな中、野心的な試みを敢行しているのが、民主党の藤末健三氏。TwitMicを使って音声をUPしリンクを張っているのだ。ネットを使った選挙活動は、パソコン上の文字情報などが文書図画に該当するというのが公職選挙法上の判断だが、音声ならいいだろ、ということなのだろう。実際、藤末氏は「ホームページやメールなどで音声を流す」と表明していたが、tiwtterもやめないのは、ある種の意地を感じますね~。

 しかし、今回の選挙は、異様に「静か」な気がする。一部ではホットな場面もあったようだし(参照)、新聞・TVなどの世論調査では「関心が高い」ことになっているのだが。
 私が昨日13時頃に池袋駅東口を通りかかった際にみんなの党の比例候補が演説を行っていたが、立ち止まる人はほぼ皆無といった様子だった。
 フリーライターの畠山理仁氏によると、荻窪駅での原口一博総務相の演説は100人くらいの聴衆だったという(参照)。畠山氏は原口大臣の集客力不足を指摘していたが、そうではなくて、単純に選挙戦が盛り上がっていないんじゃないか、という疑問の方が大きい。
 世間はサッカー日本代表の予選突破で沸き返っているし、マスメディアでは大相撲の野球賭博疑惑が大きく報道されている。選挙戦はその次、という序列のように見受けられる。私がチェックしているブログやブックマークやtwitterのタイムラインでもあまり選挙のことは話題になっていない。
 この「静かさ」が、単にParsleyのみの皮膚感なのかもしれないけれど。なんとなく白けた空気も感じなくもない。

 こういった情勢が、どの党を利するのか、ちょっと判別はつかないが、風向き的には民主党・自民党の現有議席を保持している勢力に有利で、新興勢力はどこまで崩せるのか、というところが見どころなのかなぁ。
 ま、まだ選挙戦ははじまったばかりだし、風なんて一瞬で変わる。いろいろな意味で興味深い戦いなんじゃないかな、と選挙ウオッチャーとしては思っております。

「アクティブ」である、ということ

 参議院選挙が、今日公示されましたね。
 毎回、国政選挙の時は旗幟を鮮明にすることを信条にしているParsleyですが、今回はしない。というかできない。まだ決めかねているので。

 ただ、民主党・自民党のほかにこれだけ政党が乱立して思うのは、「党」じゃなくて「人」なんじゃないかな、と考えている。
 どこかの団体の利権の枠のために出馬して、既得権益を主張するための「席」を得ようとする人ではなく、政治に限らず行政・外交・社会保障政策…なんでもいいから専門分野がある人を、議場に送り出したい。現状、前者のようなタイプは民主党にも自民党にも他の党にも候補者がいるから、国政に対して「アクティブ」に動かしていけるような人を選びたいと思う。

 その候補者が「アクティブ」かどうか、理解するのに一番手っ取り早いのはサイトで活動記録を見ること。そういった観点から選挙の活動が有権者により「見える」ようになるといいのだけれど、ネットを活用した選挙運動を解禁する公職選挙法の改正は政権交代のどさくさで見送りになってしまった。
 そんな中、民主党twitter議員のひとり藤末健三参議院議員が、ホームページやメールなどで音声を流す方法で選挙活動を行うことを表明したそうだ。

 参院選:「ネットで選挙活動」民主・藤末議員(毎日jp)

 このことに関しては町村泰貴先生が詳しく解説している(参照)。私も藤末議員のトライを応援したいと思うし、こういう活動こそ「アクティブ」だと感じる。

 さて。「ネット選挙」に向けて、有権者=ネット民の出来ることはないものか。ニコニコ動画では、頻繁に政治家を交えたディスカッションを生放送しており、コンテンツとして有用だということを証明するとともに「ネット選挙」解禁に向けた「側面支援」の役割も担っている。
 ただ、一般のブロガーやついったらー、2ちゃんねらーからも、自主的に、政治家の側とアクセスしていくことが必要なのではないだろうか?

 …と、繰言を言っている暇があれば実行しろよ。

 ということで、民主党・蓮舫行政刷新相、自民党・河野太郎幹事長代理、みんなの党・渡辺喜美代表に、ブロガー懇談会開催できないか、本日各党・各事務所にメールで送ってみました。
 実現できるかどうかは、とりあえず返答次第。続報は随時このブログでお知らせしますのでお待ち下さいませ。
 
 政治家に、「アクティブ」を求めるならば、ネットの側もより「アクティブ」だということを証明しなくちゃね。
 そうやって、ユーザーの側もより政治にコミットして、少しでも良い方向に転がればいいなぁ。

 

『ヤフー・トピックスの作り方』を読んだ。

ヤフー・トピックスの作り方 (光文社新書)
奥村倫弘
光文社
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 献本を頂きました。ありがとうございます。

 本書『ヤフー・トピックスの作り方』は、R&D統括本部編集本部メディア編集部長、つまり現職のヤフーニュースの責任者である奥村倫弘氏が、トピックス編集部の一日の仕事を紹介し、トピックスがなぜ13文字なのかなど、45億PV/月、6970万/UUと世界でも有数のニュースサイトになったヤフー・トピックスの「秘密」を、少しだけ明かしてみせている。

 拙ブログも、鳩山前総理が記者会見を「オープン化」した際にヤフー・トピックスの関連記事に掲載された経験がある。普段は数十/1時間という閲覧数が、いきなり数千と一桁違う来訪者がやってくるのには、さしずめ集中豪雨のような状態。こういう時、個人サーバーではなくyaplogというサービスで間借りさせて頂いているありがたさを感じたものだが、それにしてもヤフトピの影響力をまざまざと思い知らされた。ただ、個人ブログレベルではそのPVが寄与することは非常に少ないのだが、それはここでは触れないでおく。

 著者は、読売新聞社記者の経験もあるため、新聞におけるニュースと、ヤフトピにおけるニュースの構造の違いを明確に述べている。インタビューや現場に足を運び目的の情報を得てアウトプットする前者と、ニュース記事を軸にしてリンクを作るのがヤフトピだという。この両者に多くの読者にニュースを伝えたいという気持ちは変わらないので、ほとんどの編集部員が新聞記者・編集者出身でも「記事を書きたいとは思わない」のだという。
 それと同時に、閲覧数が一目瞭然なWebと、紙媒体との違いの良し悪しにも触れている。米軍普天間基地移転問題での県民大会のニュースを例に、琉球新報では一面とテレビ面をぶち抜きの九段見出しをしているのに対して、ヤフトピでは「普天間めぐり連日も集会 沖縄」という見出しで、2時間半ほど8本のトピックスのうちの1本として扱ったという。その結果、その日の35本掲載されたトピックスのうち30番目に過ぎなかったという。
 このような公共性のある「伝統的」なニュースよりもジャンクフード・コンテンツの方が読まれるという事実をそのまま提示し、「閲覧数で成立するビジネスとの相性の良さから、今後もニュースの質と量に影響を与え続ける可能性があります」と述べている。このように、公共性のある媒体としての責任と広告モデルの両立という点での揺らぐ様子が、淡々とした筆致ながら随所に垣間見える。

 あと、特に広報担当者は一読して襟を正すべきなのでは、とお節介ながら思える箇所もいくつか見受けられた。例えば、プレスリリース。著者によれば「商品情報を見出しや本文に詰め込んでしまい、消費者に訴えかけるべくフォーカスがぼやけてしまっている例が少なくありません」という。製品の型番や自社名で半分近くも占めてしまえば、製品の特徴が充分に盛り込めていないのでは元も子もない。
 また、ヤフトピに取り上げられるようなネットプロモーションに対して「トピックスを宣伝のために使ってはならない」という大前提を徹底しているといい、「トピックス掲載必勝法」という講演会を主催したりするPR会社について「すごく残念な気持ちになる」と述べ、「裏をかかれたのは報道機関もそうだし、広告を読まされた読者もそうです。社会的に意味のある企業活動とは思えません」と釘を刺している。

 とはいえ、「大本営発表」ではそうかもしれないけれど、ビジネスとしては本当のところどうなのか、という疑問は、それでも残る。そのあたりは6月27日に紀伊國屋書店新宿本店で開かれる著者と中川淳一郎氏とのトークセッション(参照)でもテーマになるのではないかしら。

 それにしても。天下のヤフーニュースを統括する立場の著者から『痛いニュース(ノ∀`) 』『ニュー速クオリティ』というサイト名が普通に出ることには2ch文化圏の影響力を感じさせるし、twitterの速報性が語られるあたり、「ニュース」「メディア」の多様性と複雑化を象徴しているように思える。そして、このブログも、そういったWebの生態系の一旦を担っているのだ。好むと好まざるとに関わらず。

 

Web制作参考書こそ電子書籍で読みたい!

 linkercrema女史より『Movable Type Community Solutionで作る最新最強のコミュニティサイト』(ソシム株式会社)を頂きました。ありがとうございます!

 ここ最近、へっぽこWeb屋さんとしてのParsleyはMovable Type(以下MT)を使うことが多くなって、ユーザーコミュニティやいろいろな本を参考にしながら二歩進んで一歩下がるといったことを繰り返す毎日。そんなレベルなので、MTでコミュニティサイトが機能として実装されていることは知っていても、実際のサイト構築にどう生かしていけばいいのか、イメージが出来ないでいた。
 本書では、「MTCSって何?」というところから、テンプレートのカスタマイズを順を追ってかなりのページを割いて丁寧に説明したあとに、ユーザーによる画像投稿・投票ランキングを実装したキャンペーンサイト、ユーザー間でコミュニティサイトが形成できる商店街のサイト、そして、既存のレシピサイトにコミュニティ機能を導入した事例を紹介するという分かりやすい構成になっていた。
 特に、第五章の既存ブログサイトにコミュニティ機能を加えるというのは、ソーシャル化していくWebサイトの潮流からも今後案件が増えてくるであろうと思われ、個人的にも非常に参考になった。

 それにしても。Web関連書籍読むたびに思うのは、「こういう参考書こそ電子書籍になって欲しい!」ということ。
 本書に限ったことではないけれど、紹介されているサイトが実際にどのように動くのか、紙面だけでは伝わらない部分は沢山あるし、テンプレートをカスタマイズするプラグインの紹介URLなどが一発で飛べるとどれだけ便利か。引用箇所をTwitterに投稿して著者に直接訊いてみる、などということも出来るかもしれないし、書籍のコミュニティとリンクをすることができれば、パッケージとしての書籍がコンテンツとしてだけでなくプラットフォームとしても機能するだろう。
 Web関連書籍だけでなく、教科書・学習参考書などといった分野は、書籍の電子化によってそういった可能性を探求していかなければダメだと思うのですが、私の知る限り動きは鈍重だよな~。
 ま、そのあたりのアイディアを含めて、電子書籍(コンテンツ)とWeb(コミュニティ)をどのように絡ませてよりユーザーの知見に貢献できるのか、という視点をなんとか持ち込めたらいいな、とプレイヤー志望者としては考える次第です。

 そういえば、MT関連書籍で最初に買ったのもcrema女史デザインの本だったな。彼女のシンプルで分かりやすいデザインはごちゃごちゃしたサイトにしがちな私にとっては座右のMT書。本書含めて、都度参考にさせて頂きます!!

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森ガールの拡散と「森ぎゃ~る」

 最近は、街で「森ガール」的なアイテムを纏った女の子がすっかり増えた。Parsleyの観測範囲(山手線西側)だと、特別森ガール向けとされていないショップでも、レースのワンピなどを扱うようになり、森ガールと意識しているわけでもない子もガーリーなアイテムを選びやすい環境になっているような印象を受ける。
 実際、Amazonなどでも夢展望がギャル色が強い難波つかさをモデルにしたカンカン帽を扱っていたりして、「森ガール」像が拡散していることを感じさせる。

 このように、「ギャル」も「森」的なものを無視できなくなっている。GAL’s POPを謳う『Popteen』の最新号では、目次の直下に「森ぎゃ~る」特集を組んでいる。本来の森ガールではあまり登場してこないデニムとの合わせがあったり、ヘアがアッシュ系のゆるいパーマだったりして新鮮。紹介されている店舗も2000~6000円代のリズナブルなアイテムなのも同誌らしい。
 面白いなーと思ったのが、誌面作りがあくまで「森」を纏った「ぎゃ~る」だということ。「森」的なファッションコーデをしてもギャルというアイデンティティが揺るがないのがスゴイ。「カワイイ」とか「その日の気分で」の選択肢の一つとして、森ガール的なワードローブがあってもいいよね、という提案で、しかもそれに乗る子が増えている、ということなのだろう。

 対する正調(?)森ガール陣営は、系統分けが進んでいる。
 ゴールデンウィーク前に発売された『森ガールノート』では、レースを基調とした「フェアリー系」、ニットやプリント柄のレイヤードで勝負する「ニュアンス系」、ほっこりとした動きやすい「アウトドア系」と三つに分類していた。
 このうち、「ぎゃ~る」も取り込んでいるがフェアリー系、『PS』の菊地亜希子などに代表される「ゆるリラガール」と称されるのがアウトドア系に当たるようだ。
 そして、個人的には、「ニュアンス」系が、東京発のファッションとしての森ガールとしての系譜を繋いでいくのではないかしら、と感じている。

 で、ファッションからカルチャーへ、という文脈では、やはり手芸が本線になるのだろう。他称森ガールな乙女男子Parsleyも、かぎ針編みものに挑戦してみようかしらん。
 もう一つ。園芸も地味にブレイクの兆し。絵本雑誌『MOE』7月号でしばわんこが野菜を育てていてちょっとびっくり! そういった方面と、森ガールカルチャーとのリンクされるかどうかは注目していきたいと思う。

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出版界の時代錯誤と『「リストラなう」日記』

 はじめに断っておくと、Parsleyは『たぬきちの「リストラなう」日記』様が大っ嫌いです。そういったバイアスがあることを踏まえて、このエントリーをお読み頂ければ幸いです。

 【お知らせ】「リストラなう」にコメントを寄せてくださったみなさまへ【とても重要】(2010年6月2日)
 改めて、お願いします。(2010年6月8日)

 「後顧の憂いがなくなったっす」というのは、書籍化して原稿料や印税を支払われることが求職者給付の基本手当に影響がないというお墨付きを頂いた、ということなのかしらん? それにしてもどの雇用保険に関するテキストを見ても給付の差し引きの対象になる「就労・内職・手伝い」の中に「翻訳」や「講演」などは記載があったりするのだけど、「執筆」というどこにも書かれていないんだねー不思議。
 まぁ私が彼のことが嫌いなのは、こういう「持てる者」の無意識が、至るところに顕在しているところなんだけどね。「リストラなうってタイトルにあるけれど、本文で一度もリストラされたって書いてないから」とあった時は本気で憤慨しました、えぇ。

 とにかく、それはそれとして。CGM的な、コメント欄のコンテンツ&マネタイズ化で揉める例は過去に何度もある。拙ブログでもmixiの「話のつまらない男に殺意を覚える」コミュニティが書籍化する際に大騒ぎになったことと清水ちなみとOL委員会に関してエントリーを記した。

 繰り返される悲しみは島渡る波のよう@出版篇(2006年11月22日)

 今回の騒動を見て思ったのは、ネット民の「嫌儲」意識は年々厳しくなっているなぁということだが、本エントリーでそこに触れるのは避ける。もう一つ、主体が著者とは異なるコメント欄などの扱いは毎度のように係争事項になるというのに、なぜ版元や編集者は学ばないのかなぁ、と思ったりする。
 これを機会にはてなの規約をななめ読みしてみたが、「個別事項に関しては当事者同士で解決してね」以上のことは書かれていないようだったし、許諾を得る煩雑さは逃れられない。その点、たぬきち氏は極力誠実に対処している印象はあるけれど、「個人情報まで寄越さないといけないのか」などといった論難を甘んじて受けなければいけないのは変わりない。コメント者全てを納得させる解決策はないだろう。
 しかし、『「リストラなう」日記』に、たぬきち氏以外の第三者のコメントが、リスクを負ってまで掲載する必要があるのか、疑問は残る。文責がたぬきち氏の部分だけじゃダメなの??

 それ以上に謎なのが、「出版社が希望退職を募って応じた中年男性の語」が、なぜ書籍にするだけのコンテンツと看做されるのか、ということだ。だいたい中小の出版社はいくつも潰れているのも周知の通りだし、編集プロダクションや個人ライターが収入を得るのに厳しさを増していることも今にはじまったことではない。
 出版業界から離れても、例えばブラックな企業だらけのIT業界だと会社都合での退職(いわゆる解雇ね)なんて珍しくもなんともないし、人材の流動も激しくなっている。Parsleyの実感だと、「終身雇用?どこの国の話ですか??」といったところだったりするのだけど。
 つまり、大手の版元ではまだ珍しいのかもしれないけれど、世間的には当たり前になっている話に、なぜ食いつくのか、ということが、本当に不思議で仕方がないのだ。しかも、複数。

kodanshabiz 「リストラなう」は新潮社から7月末刊行ですか。じつは編集部のスタッフが先月たぬきちさんインタビューに成功。それが載った本は6月中に出す予定です。先越したぞ。 #hon #honyasan #hanmotosan #kbiz ( 2010-06-02 13:34:08 )

 たぬきち氏に限らず、大手版元の編集者も、実際に本屋さんで買う一般消費者の感覚とはかけ離れていることが、今回の件で浮き彫りになったんじゃないかな、と思う。
 こんな時代錯誤な業界、一度スクラップ&ビルドが必要なんじゃないか。そういった人材やプレイヤーのシャッフルの「武器」として電子出版があるんじゃないのか、と個人的には考えるのだけど、それはまた別の機会に。

 そんなこんなで、私Parsleyは、「たぬきちさん頑張れ!」などと毛ほども思わない、と改めて表明しておきます。

『PS』7月号を読んだ。

 発売されてだいぶ日が経ってしまった。手短に。
 表紙は綾瀬はるかの浴衣姿。個人的には、豆千代モダンの撫子柄の藍色のよりも、グラビアの白地のものの方が涼やかで好みだなー。

 前号に引き続き「リラックスガール」が特集されている。あまりタイトでないワンピース・オールインワン・サロペットなどや、ゆるパン、パーカなどが紹介されている。ブラウスやレースものなど、森ガール的なアイテムも混じっているところが注目点。
 デニムで6ページ組んでいる中では、CHEAP MONDAYのダイヤ柄ジーンズが気になった。

 この時期に夏フェスの特集を組むのは常套手段なのだけれど、今年は街フェス(サマソニとか)と山フェス(フジロックみたいな)とで時間別でシーン/スタイルを紹介していて面白かった。

 ちょっと気になったのは、海外ボランティア特集に5ページ使っていたこと。最近しばらくこの手の「自分探し」系の記事は見かけなかったのだけど、就職難なご時勢が影響しているのかしら?

 そして4色ページでは「だってLOVE&SEXより大切なものってある!?」。トビラ絵がハーレクイン調の王宮と薔薇が描かれているのはご愛嬌。取り立てて特筆するようなことはなかったのだけれど、AV女優からみひろRioが登場しているのはParsley的に嬉しかった。AV女優を巡る環境はここ数年で劇的に変化しているのだけれど、それはまた別の機会に。

世論形成の生態系と大臣会見開放

 鳩山由紀夫首相が辞任を表明した。そのことに対する感慨は特別ない。冷静に考えてどうやっても現行案の修正なんか無理だろという米軍普天間基地の移設問題に手を付けた上に解決の期限を設けた時点で既に結末は見えていた。しかし、僅か八ヶ月前の衆議院選挙で300議席を超える圧勝をした政権が、あっという間に支持を失っていく(とされる)ことには、多少の考察が必要なように思われる。

 東浩紀氏がtwitterで現行の選挙制度に疑問を呈し「システム根本から見直すしかないじゃん」とおっしゃっていた(参照)のに、Parsleyも賛同する。だが、現状では選挙制度改革は議論の俎上に乗ることすら難しいのではないか。
 それ以上に私が気になるのが、世論醸成装置としてのメディアの存在、である。
 NHKニュースを見ていると、街の声で50歳前後の男性が「事業仕分けまではよかったけど…」といった発言をされていた。確かに、その頃まではテレビのワイドショーなども蓮舫議員が勇ましく既得権益に切り込むの図をしきりに放映していたし、政権にとって「見栄え」のいい報道がなされていた。その後は、マスコミの報道が小沢幹事長の資金問題や沖縄問題(安全保障問題、でなく)に移ってしまい、一気に支持率も下がっていった。小沢vs特捜では、前者に近い週刊誌などは、特捜バッシングもしていたので、政権にとって決定的な打撃にはならなかった。が、沖縄の「迷走」が繰り返し報道されたことが、政権にボディーブローのように効いていたのだろう。
 それにしてもだ。結果として辺野古移設案って安全保障的に最適解なはず(だって、尖閣諸島という係争域が目と鼻の先にあるんですよ?)。それで政権が一つ潰れる程の事案だったのか? あえて疑問を呈したい。
 要するに、政治家の皆様もテレビ・新聞・雑誌といったオールドメディア=世論、と捉えているようなふしが感じられてならない、ということ。
 各種世論調査が出す支持率って、本当に「世論」が反映されているのか。「報道」されていること以外の、主にネットで流れている情報に気を配らないで済むのか。いずれにしても、オールドメディアの「報道」が、政治家の方々の「判断」を左右しているのだとすると、各メディアの地盤沈下が著しい現在においては、様々な読み違いの原因になるのではないか。
 そういった意味でも、例えばニコニコ生放送やtwitterなど、新たな世論形成の生態系も出来上がるつつある中で突入する次の参議院選挙は注目しなければならないだろう。

 さて、鳩山政権化での数少ない実績の一つに「大臣記者会見オープン化」がある。
 個人的には、次期政権に変わることで、もとのクローズドな会見になる懸念は少ないだろうと考えている。大臣(トップ)主導で官僚を動かして一度開いてしまったドアをまた閉じるというような方針転換をするエネルギーに割く余力があるとも思えないし、なによりどんな手を使っても支持率に拘泥するのなら、「オープン」というところに拘るんじゃないかな?
 それよりも、「記者」会見の「オープン」、というところで、全て開放されているような印象が流れることは、木っ端ブロガーとしては非常に面白くない。ほとんどの省庁は、会見参加者のガイドラインを一番最初にオープン化に踏み切った際の外務省のものを準拠している(拙ブログ参照)。
 日本インターネット報道協会の神保哲生氏にお伺いしたところ、協会に個人で入会したとしても、会見出席の是非を判断するのは官庁側だという。その出席の線引きを官庁で行っている、ということ自体にも是非があるし、「報道目的」ということに限定しているのも、現在の情報流通の実態にそぐわない感じが拭えない。
 神保氏は、4月25日に開催された新聞労連のシンポジウム「記者会見は誰のもの」で、報道以外の、例えば証券情報を得るための情報収集の場になるとまずい、といった趣旨の発言がなされていた。
 しかし、先に挙げたニコニコ生放送やUSTREAMなどで手軽に同時中継が誰にでも出来る環境になっている現状、衆人環視の中で、自説を大臣に向けるような質問者は糾弾され淘汰されるだろう。もちろん、閣僚就任会見で「靖国に参拝されますか」と訊く職業記者も同様だ。
 また、大臣個人の意向で開くのではなく、あくまで省庁内で記者クラブもしくは官庁がオフィシャルに会見を開く場が、オープンである、ということが重要だ。
 5月12日に開かれた亀井静香金融・郵政改革担当大臣の「オープン市民会見」は、「会見」というよりも講演会や支持者の会合に近い空気だった。記者会見に漂う緊張感が、政治家側にも質問者にもある程度感じさせるような場になるためには、政治家が主導する私的な空間ではなく、なんらかの公的な担保がある場が用意されることが望ましいだろう。

 この大臣会見も、オールドメディアに替わる世論形成の生態系を担うことになるだろうし、そうなるべきだとParsleyは思うのだけど、それはまた別に機会に。

「空気」の研究 (山本七平ライブラリー)
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