『メディア・イノベーションの衝撃』シンポ感想

 7月30日、『メディア・イノベーションの衝撃』発売記念シンポジウム「検証:ポピュリズムか集合知か ネット選挙の行く末」が開催され、なんとか無事に終了致しました。
 「なんとか」、というのは告知期間が短く集客に苦戦していたから!(笑)
 FPNの予約数が全然伸びなくて内心「やべー」という感じだった(某氏は超焦っていた)のだけど、「Yahooみんなの政治」のトップにリンクを張って頂いたおかげでヒット数が一気に伸びました。やっぱりポータルすげー。
 他にも「週刊ビジスタニュース」で紹介して頂いたり、いろいろな方がブログやサイトで取り上げて頂いたりしてじわじわと予約数も増え、最終的には約60名の方々にお集まり頂きました。
 天候が不安定な中、いらっしゃった皆様に心から感謝致します。

 シンポの模様は、ImpressWatchの増田覚記者の記事をご参照頂ければ、と思います。

 「ネット世論に信憑性はあるのか?」インターネット選挙の今後を議論

 と、ここまではポジショントーク。
 私は受付やっていて聞いていたり聞いていなかったりしていたので、感想レベルのメモを以下に記しておきます。

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『メディア・イノベーションの衝撃』シンポ開催

 <7/23 15:00記>
 この記事は、7月30日18:30に設定されております。

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 拙エントリーでも触れましたが、『メディア・イノベーションの衝撃』の刊行記念シンポジウム「検証:ポピュリズムか集合知か ネット選挙の行く末」が、参院選投票翌日の7月30日18時30分より上智大学四谷キャンパス7号館14階特別会議室にて開催されます。

 デジタルジャーナリズム研究会を主宰なさっている橋場義之上智大学教授を司会に、佐々木俊尚氏や『ガ島通信』様、『H-Yamaguchi.net』の山口浩駒澤大学准教授がパネリストとして登壇され、選挙結果を踏まえつつ、選挙とインターネットの関係について、ネットでの取り組み、ネット世論、新聞・テレビなどの既存メディアとネットの関係について議論する予定になってます。

 参加費は500円。大学生・大学院生の方は無料です
 全員無料になりました。

 お申し込みはFPNのフォームよりお願い致します。

 
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 <7/31 2:00記>
 悪天候が心配されましたが、イベントは無事に終了致しました。
 ご来場頂きました皆様、本当にありがとうございました。

 

2007年参院選がブログ界隈で盛り上がらなかった理由を適当に考えてみる。

 あくまで個人的な印象。仔細な分析は専門家の方にお任せします。

 比較対象は、ひとまず2005年の衆議院選挙。

 ☆選挙の重要度
 勝っても負けても、首班が変らないことは(どんなにマスコミが煽っても)分かりきっていたし、メイントピックだったらしい社会保険庁の問題も安部政権の政策上の失点では本来なかった。対応が余りに酷かったけど。
 要するに、選挙で争うべきとされる「政策」に、ネタがなかった。
 
 ☆2年間でのネット界隈の変化
 2005年になくて、2007年にあったもの。
 ぱっと思いつく限りでは、影響力のあるサイトだと『Yahooみんなの政治』(2006年2月)と『痛いニュース』(2005年12月)といったところ。
 それよりも大きいのはYouTubeニコニコ動画か。
 特に、後者の政治タグを見ると、今回の選挙と、テレビ報道が情報としてどう消費されているのかが手に取るように分かって面白いです。

 逆に、なかったものは、コンテンツそのもの。
 2005年時に活発に口を挟んでいたブログは今回ほとんど沈黙を貫いたか、影響力を発揮しようとはしなかった。なので、ブログ間で議論のハブとなるべきエントリーがほとんどなかった。
 まぁ、彼らの「言っても詮無いしなー」という気分は理解できる。別に選挙関連の記事を書いたところで誰もオーソライズしてくれない。論壇・文芸誌にオーソライズしてもらったところで後が続かないことも見えている。むしろ、長い目で見るとリスクの方が多い。
 ネット・ブログをメインに活動しているひとの手のもので唯一選挙前に政治的な意味をもった論文だったと思われる赤木智弘氏の『「丸山眞男」をひっぱたきたい』も、結局のところ今回の選挙と関連づけられることはなかったし。
 Gooは2005年には、ブログで活動していたひとに寄稿してもらったり、アンケートトラックバック企画なども行っていた(参考)。今回は、そういった企画は一切なく、代わりにキーワードを分析し日にちごとの移り変わりを政党別グラフに表示させている(参考)。
 この試みで、どちらがよりPVを稼げたのか、「みんなは、みんなの意見に興味があるのか」といったところには興味があるなぁ。
 
 あと、SNSやソーシャルブックマークは、コミュニティーの細分化には役に立つけれど集約はされない、ということなんじゃないかな、と思う。まぁ、随分前から言われていることではあるけれど。

 そんなこんなで、『痛いニュース』で候補者や関係者の失言を晒し上げることと、ニコニコ動画でMAD動画を見る、いうのが平均的なネットユーザーの選挙の楽しみ方だったのではないでしょうか(笑)。
 それにしても、小沢一郎民主党代表のスパイダーマンネタのMAD動画は面白すぎた。ビバ!メディアアート!!

『メディア・イノベーションの衝撃』参考文献

 (P20)

ブログ 世界を変える個人メディア
ダン・ギルモア 平 和博
朝日新聞社 (2005/08/05)
売り上げランキング: 173486

 (P41)

ウェブログ・ハンドブック―ブログの作成と運営に関する実践的なアドバイス
レベッカ ブラッド Rebecca Blood yomoyomo
毎日コミュニケーションズ (2003/12)
売り上げランキング: 228607

 (P122)

「みんなの意見」は案外正しい
ジェームズ・スロウィッキー 小高 尚子
角川書店 (2006/01/31)
売り上げランキング: 7080

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『サイバージャーナリズム論』を読んだ

サイバージャーナリズム論 「それから」のマスメディア (ソフトバンク新書)
歌川 令三 湯川 鶴章 佐々木 俊尚 森 健 スポンタ 中村
ソフトバンク クリエイティブ (2007/07/18)
売り上げランキング: 6285

 「新旧世代の論客が、さまざまな切り口からジャーナリズムの明日を語り尽くす」とのことだが、歌川令三氏の第一章はオールドメディア企業のビジネスを巡る概況、佐々木俊尚氏の第三章は放送行政に関して、森健氏の第四章・第五章は検索エンジンやネットワーク構造論、湯川鶴章氏の第六章はWeb2.0的サービスのコミュニティメディア紹介なので、「ジャーナリズム」については余り触れていない。同じく湯川氏担当の第二章は、大枠で『ブログがジャーナリズムを変える』などで論じられたことの再掲。
 ま、それぞれご自身の単著のパブと言って差し支えないだろう。
 第八章は全体のまとめなので、本書のタイトルである「サイバージャーナリズム」自体を論じているのは、実質的に第七章『誰もがジャーナリストになれる?』の35ページになる。

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『メディア・イノベーションの衝撃』関連リンク(下)

 前のエントリーに引き続き、『メディア・イノベーションの衝撃』で言及がある事象に関するリンクを淡々と列挙してみます。ちょっと厭きてきたのは秘密だ!
 本文脇の注釈のほかに、parsleyが個人的に踏まえておくべきと考えるものも参考として掲載されてあります。

 ■第5部 ネット上のロボットが、流行を作り、世論を誘導する
 P155:初めて出会ったブログの信頼度を調べる3つのテクニック
 P159:『悪徳商法マニアックス』(参考)
 P161:Spike the Vote: Diggをねらう別種のガン登場
 P168:インターネット上ではびこる浅はかなナショナリズム
 P168:2ちゃんねらーに釣られたオーマイニュース編集部
 P169:通信の秘密を含む個人情報の漏えい事案に関する株式会社エヌ・ティ・ティ・データに対する措置
 P173:荒らしプログラム-Wikipedia-(参考)
 P174:NoranaiNews:ノラナイニュース
 P175:アルファブロガー投票企画 -ベストイレブン発表-(参考)
 P178:「口コミ」マーケティングは悪か?消費者団体、FTCにバズマーケティングの調査を要請 -CNET Japan-(参考)
 P178:企業とブロガーの関係に関する調査結果(pdf)(参考)

 ■第6部 ”無邪気な巨人”グーグル・ジャーナリズムの功罪
 P183:オーバーチュア
 P183:Google AdWords
 P183:日本ビデオニュース社
 P183:検索連動型広告運営会社(ヤフーの子会社オーバーチュア)を提訴~恣意的な広告掲載拒否を理由に -情報流通促進計画-(参考)
 P184:「Google八分の刑」という難問 -圏外からのひとこと-(参考)
 P197:Google検索 グロービート の検索結果(参考)
 P198:『池田信夫 blog』
 P199:【業務連絡】Google AdSenseのリンクを停止 -たけくまメモ-(参考)
 P206:削除依頼(入口)@2ch掲示板(参考)
 P210:テクノラティジャパン
 P211:イザ!
 P220:Divided We Stand… Still
 P222:10 Ways to Eliminate the Echo Chamber

 ■第7部 ネット世論とサイバーリテラシー
 P228:Flickr: フリッカー
 P228:livedoor Blogの著作権に関わる利用規約改定にユーザーから不満の声が -INTERNET Watch-
 P229:コメント欄について -Grip Blog <Archives>-(参考)
 P237:CyBazzi!(参考)

 

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『メディア・イノベーションの衝撃』関連リンク(上)

 『メディア・イノベーションの衝撃』で言及がある事象に関するリンクを淡々と列挙してみます。暇だからな!(うえけん風)
 本文脇の注釈のほかに、parsleyが個人的に踏まえておくべきと考えるものも参考として掲載されてあります。

 ■第1部 ネット時代の”ジャーナリズム”とはなにか
 P9:Wikipedia(日本版)
 P10:はてなキーワード
 P15:『isologue』
 P16:佐々木俊尚の『ITジャーナル』
 P19:『きっこのブログ』
 P24:Google について(参考)
 P33:雑誌「Tarzan」元編集長のブログ騒動(参考)
 P35:2ちゃんねる
 P40:はてなポイント
 P43:オーマイニュース(日本版)

 ■第2部 ブログは報道機関になりうるか
 P50:JanJan
 P52:[R30]:メディアビジネスのバリューチェーン(最終回)
 P53:ITpro ビル・ゲイツ氏引退の舞台裏
 P53:古川 享 ブログ: 日経BP ITPro殿に、苦言(参考)
 P54:『世に倦む日日』
 P55:『絵文禄ことのは』
 P55:GripBlog「民主党 ブロガーと前原代表との懇談会」の参加者(参考)
 P55:旅に出ようか(zoniaのブックマーク) / ことのはを巡る(参考)
 P55:「ことのは」問題を考える:佐々木俊尚 ジャーナリストの視点(参考)
 P55:『404 Blog Not Found』
 P55:絶対的正義は絶対的少数-404 Blog Not Found-(参考)
 P56:Matimulog:市会議員のWeb名誉毀損(参考)
 P62:電波系-Wikipedia-(参考)
 P63::アルファブロガー2005 結果発表(参考)
 P64:「マスコミたらい回し」とは? 医療現場で起きていること -天漢日乗-(参考)

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正当性を信じる者同士の議論は果てがない

鈴木先生 3 (3) (アクションコミックス)
武富 健治
双葉社 (2007/07/03)

 たとえ‥自分らは非道いことをしているのでは? と不安が頭をもたげたとしてもその度に「いや やはり
オレたちは正しい」と確信し直してしまうんだ!
 反省すればするほどむしろ頑なな自信が増していく-
 こいつは本当に怖い‥地獄だぞ!
(『鈴木先生 3』より)

 小倉秀夫弁護士が展開している匿名実名論争の状況も、似たような状況かと。
 彼がWebにおいて信頼を得られないのは、批判の対象である「ネットイナゴ」とまったく同じ文脈で「匿名」を攻撃している点にあると思う。
 wetfootdog様や松岡美樹氏が歩み寄りの提案をしているけれど、小倉先生の側に舞台を「降りる」メリットがあまりないので、望み薄でしょう。

 もし、この議論の前進を望むのならば、そろそろ個々のブログから”場”を変える必要があるだろう。
 直接顔をあわせて対談をする度胸がお互いにあるならば、そうするもよし。
 何かの媒体を介在させ、その議論を担保する、という形でもいいかもしれない。
 問題は、この実名匿名論争に対して、議論のフレームを変える程の価値があるかどうか、だけど。

 何にせよ、ブログは自説の開帳=パブリシティという面では手軽で効果もある。
 が、利害がぶつかり合う時に、調整が取れず収拾がつかない。
 調整を取り得る立場(「マジックミドル」とか?)は、能力がないか、意思がない。
 そうなると、今のところ考えられる最上の策は、相手の根負けを待ち時間を稼ぐことだろう。
 

 まぁ、2007年現在においては、児戯のような議論の対立がもとでのケースしかないからいいけれど。
 「ネット選挙」はなし崩しに容認されているようだし(参照)、リアルマネーの流入が加速するともっと生臭い衝突も起こり得る。
 その時には、ネットに対してほんとうのバックラッシュがやってくるだろうし、小倉先生の「ための議論」が亡霊のように蘇る、かもしれない。

 ちなみに、この正義と正義のぶつかりあいという構図に関しては、『メディア・イノベーションの衝撃』でも第七部「ネット世論とサイバーリテラシー」でかなりの紙面を割いて触れています。
 すいません。ちょっと宣伝してみました。この記事もパブリシティだということで。

『メディア・イノベーションの衝撃』にコラムを寄稿しました。

 7月23日に日本評論社から発売される『メディア・イノベーションの衝撃』に、『「電波」の処方箋は読み手のリテラシー』というコラムを寄稿しました。
 この本は情報ネットワーク法学会デジタル・ジャーナリズム研究会で2006年春より2007年初頭にかけて開かれた連続討論を書籍化したものです。研究会には、私も末席で参加させて頂いておりました。

 しかし、ディスカッション・パートの自分の発言を読み返すと、レベル的にどうよな明後日で極端なことばかり言っていて赤面もの。巻末の発言者紹介を一見すれば分かるように、自分だけ500枚は格下なので、緊張して舞い上がっていました。何卒ご寛恕頂ければ幸いです。

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ブログ間議論の終焉、「絡み芸」の終焉

 小倉秀夫弁護士と松岡美樹氏との論争を拝読しての感想。
 参考は下記エントリー。
 
 「小倉さん、それでもスルー力は必要ですよ」(2007/7/19)
 「ネットでの暴言被害の方がより深刻だ。」(2007/7/20)
 「小倉さん、印象操作はほどほどに」(2007/7/22)
 「先ず隗より始めよ、松岡さん」(2007/7/22)

 小倉先生としては、ASCIIという媒体で自身への批判記事が掲載されるという事実が看過出来ないし、松岡氏からしてみても弁護士という立場の方からの批判は看過出来ないだろう。つまり、記事と記事との間は、絶対に歩み寄ることがない。永遠の平行線。
 というか、小倉先生はこの匿名実名論を2年以上もず~っとやっているわけですよ。その間、何らかの進展が現実にあったかといえば、実名での発言者の失点がいくらかあったくらいで、クリティカルな変化はなかったりする。
 この議論を飽きることもなく続けているのは「敵失を待つ」ためのものだと私が疑うのはそういう理由からなのだけど、細かい部分はめんどくさいので割愛。
 まぁ、小倉先生の主張が考慮に値するものになるためには、2chやブログによる多数匿名者による連帯により、政界・財界・メディア界の大物が詰め腹を切らされたケースが必要なんじゃないですか。

 それよりも、「長期間に渡って議論をしても現実に変化をもたらすことのない」ということ自体が、言論の場としてのモラールを下げる要因になっているのでは、という気がしてならない。
 別にネット上で八方から弾幕を浴びていたとしても、リアルで小倉先生の権威なり信用なりが、落ちるとも思えない(笑)。
 おかしなことを言っている人間の”地位”や”信用”が、現実世界で脅かされることがない。安全圏からモノを言うひとがいる限り、ネット上であさってな解釈情報の垂れ流しがなくなることはないでしょうし。

 今回の小倉先生がやっているような方法論は、ブログ間の言論にとどめを刺しかねないし、「絡み芸」の終焉をもたらすだろうと思います。そうなった後で、「実名による責任のある議論」が展開されたとしても、大した意味はないんじゃないかなぁ、というのが、私の疑問です。