「文庫」を売る難しさ(書評に替わりに)

本当に使えるウェブサイトのすごい仕組み
佐々木 俊尚
日本経済新聞出版社
売り上げランキング: 327

 献本頂きました。ありがとうございます。

 本書『本当に使えるウェブサイトのすごい仕組み』は、著者が優れたウェブサイトを厳選し紹介、情報が信用出来る理由や、ユーザーに支持されている理由について記されている。
 紹介されているサイトは、下記のように多岐に渡る。

 プーペガール
 ・アトリエ
 ・アットコスメ
 ・食べログ
 ・サンプル百貨店
 ・Alike
 ・おとりよせネット
 ・Shufoo!
 ・クックパッド
 ・スマイティ
 ・リビングスタイル
 ・TUTAYA DISCAS
 ・filmo
 ・本が好き!
 ・ニコニコ動画
 ・まぐまぐ!マーケット
 ・SPIDER
 ・一休.com
 ・ポイ探
 ・フォートラベル
 ・iコンシェル
 ・QLife
 ・OKWave
 ・All About プロファイル
 ・マニュアルネット
 ・発言小町
 ・ウェブポ
 ・エキサイト恋愛結婚

 どのサイトも、確かに知っていると知らないとではだいぶ違う、生活に影響を与えるものばかりだ。
 しかし、クックパッドは以前に料理本からのパクリ転載が問題になったし、アットコスメも化粧品販売会社の社員が総出で口コミで高評価を付け、強ステロイド品を販売されたという事件があった。発言小町やエキサイト恋愛結婚を取り上げることにも是非があると思う。
 が、まぁ挙げればキリがないのでここではひとまず置いておくとする。
 ただ、著者がプーペガールのアカウントを作っていろいろお着替えさせたりクローゼットのワードロープを増やしたりいそしんでいるところを想像すると、ちょっとクスリとしてしまうのを禁じえないのは、許して欲しいかな。

 それにしても。疑問なのは、本書がターゲットとしている層にちゃんと届くことが出来るのかな、ということ。
 第一章に、「おしゃれ」、まっさきにプーペガールが紹介されていることから想像するに、本書のメインターゲットは20~30代女性が読者に念頭を置いているものだと思う。オビに「使わないともったいない!」とあるのも、お財布を握る主婦層に響くだろうし、全編「です、ます」調で統一されているのも、読みやすさや取っ付きやすさを意識したものだ。
 タイトルの「仕組み」というところで男性ビジネス層ももちろん狙ってはいるのだろうが、これはあくまでサブターゲットで、主に届けたい相手はF1層だったのではないだろうか?

 しかし、書店で日経ビジネス人文庫が置かれているのは大型書店の文庫棚の隅が多い。私が都内の書店をざっと見てみた限り、新刊書のところに面陳または平積みにしている店舗は三分の一くらいで、なかなか女性が手にしなさそうなビジネス系の場所に混じって置いている例がほとんどだった。

 つまり、本書を「文庫」として出したことにより、本来のターゲット層に届かないという可能性が高いのではないか、という懸念が拭えない。
 新書ブームが一段落して、最近は文庫へシフトしていく傾向がちらほら散見されるけれど、売り方としてどうなのかなぁ、と若干の疑問が残る。本書は700円とやや高めの値段設定をしているからいいのだけど、ますます安売りをして著者の稿料&印税を減らそうという胸算用なのかしらん、と勘繰ってしまう。

 ほんとうは、本書のようなウェブを扱った書籍こそ、HTML5でプログラムしたiPad向けコンテンツとして販売して貰いたいなぁ、というのがParsleyの偽らざる気持ちなんだけどな。各サイトにそのまま飛べるし、動画で事例紹介といったことも考えられる。書籍を見ながら、Google検索をするなんて煩わしさが一発で解消されるのは言うまでもない。

 著者は『ユリイカ』2010年8月号のインタビューで、iPadについて「都市部の女性にはものすごい人気なんですね。今は入手困難だからけっこう大変かもしれないけれど、普通に買えるようになったらみんな買うようになるのかもしれない」と、北米のような40~50代男性層ではなく、若い女性から広がっていく可能性を示唆している。
 それだけに、そのベンチマーク的な意味でも、本書をiPadアプリで販売して貰いたいなぁという気持ちが募ってしまうのだ。

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 <20:00:追記>

 ということをぐだぐだ書いていたら、佐々木俊尚氏本人が以下のようなツイートが!

もうひとつお知らせ。先月刊行したばかりの新刊『本当に使えるウェブサイトのすごい仕組み」を出版社を通さず、DRMフリーのPDF/ePubで販売します。iPadでもケータイでもパソコンでも自由に読めます! しばしお待ちを!less than a minute ago via Seesmic Web

 ePab&PDFというのが若干残念ではあるけれど、版元からではなく独自で出されるというのが画期的なのでは、と思う。いずれにせよ、販売状況やコンテンツの出来という意味でも注目度大です!

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