『コモンカフェ』を読んだ。

コモンカフェ―人と人とが出会う場のつくりかた
山納 洋
西日本出版社 (2007/05)
売り上げランキング: 68638

 ひとことで言って、非常に感銘を受けました。

 筆者の山納洋氏は、大阪ガスが1985年から2003年まで運営していた扇町ミュージアムスクエア(OMS)のマネージャーを務めていた人物で、現在は大阪21世紀協会で文化プロデュース業をされている。
 本書は、山納氏が携わってきた『扇町Talkin’About』『Common Bar SINGLES』『common cafe』などの「シングルズ・プロジェクト」の活動を紹介しつつ、彼の「自分探し」の軌跡を辿っていく。
 企業による芸術文化支援は2002年に曲がり角に差し掛かり、自治体の文化予算は税収減・公共投資の失敗などのため年々削られていく。OMSも施設の老朽化が進み、ビルの維持が難しくなり閉館が決定される。
 資金面での支援が得られない中で、文化的役割を果たしている空間をいかに維持するか。アーティストの経済的な自立のモデルを提示できるか。そういったとてつもない難問に対する、山納氏なりの試みが、ぎっしりと詰まっている。
 個人が経済的に無理なく表現活動を模索していく場は、今後どんどん求められる。そのためには「みんなで」する。では、どのように? そのヒントのいくつかはここで提示されている。
 たぶん、「シングルズ・プロジェクト」で培われたケースの数々は、阪神という「空間」に留めておくには惜しいし、彼らの動きが広く伝わることを願って、本書が出版されたのだろうと思う。「空間の維持」のエッセンスは、場所が変わっても(それがリアルだけには限らず)応用が効くだろう。

 巻末には、『扇町Talkin’About』が実施したイベントの一覧表や、『common cafe』の運営マニュアル・企画書・発注表や日報の例、そしてカクテルのレシピまで収録されている。これからカフェやバーを開業しようと考えているひとは、目を通しておくべきものばかりだと思われる。手元にある居酒屋/カフェ開業マニュアル本数冊と比較しても、こちらの方が具体的だった。

 何にせよ。大阪に行く機会があれば、とりあえず寄ってみたいです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です